研究課題/領域番号 |
19K23131
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0104:地理学、文化人類学、民俗学およびその関連分野
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研究機関 | 福山市立大学 (2022) 大阪大学 (2019-2021) |
研究代表者 |
宮前 良平 福山市立大学, 都市経営学部, 講師 (20849830)
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研究期間 (年度) |
2019-08-30 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2019年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 集合的トラウマ / 被災写真返却活動 / 〈不在〉 / 半分当事者 / 復興 / 被災写真 / ふるさとの喪失 / 東日本大震災 / 死者 / 写真洗浄 / 語りえないもの / 災害伝承 / ボランティア / 防災小説 / 遺体捜索 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究課題は、被災された方々の固有の被災・復興経験を非当事者である未災者にどのように伝えていくことができるだろうか。本研究課題では、被災者の語りに潜んでいる「語りえなさ」に着目することで、意味の伝達に重きを置いたコミュニケーション論ではない新たな災害伝承論の構築をめざす。具体的には、様々な種類の「語りえなさ」が多層的に表れる「未来形による過去の語り」と「過去形による未来の語り」に着目する。 本研究は、被災者の語りにおける「語りえなさ」に注目する。本研究活動では、主体的時間論をもとに、「語りえなさ」を複数の矛盾した語りによる揺れ動きとして理解するための実践理論の構築を行う。
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研究成果の概要 |
本研究は災害後の被災者の「語り得なさ」をどのように次世代に伝えることができるかをフィールドワークを含むアクションリサーチによって明らかにすることを目的とした。その結果、「集合的トラウマ」への着目によって、復興過程におけるコミュニティの喪失が被災者の語り得なさを促進することが明らかとなった。また、そこにあるはずのものが写っていないという〈不在〉の写真によって、語り得ないものを語ってもらうのではなく、語り得ないまま、いわば空白のまま伝承する可能性が示された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
これまで概念的な研究が主だった「語り得なさ」の輪郭をフィールドワークによってあきらかにした点に本研究の学術的な意義がある。また、集合的トラウマのように語り得なさもまた個人的なものではなく、集合的に生じることが被災地での調査によって示唆された。これらの結果から、語り得ないものを語り得ないまま伝承することによって、語り得ないことが語りによって覆い隠されることなく伝承される可能性が示唆された。このことは本研究の大きな社会的意義であると考える。
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