研究課題/領域番号 |
19K23139
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0104:地理学、文化人類学、民俗学およびその関連分野
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研究機関 | 国際ファッション専門職大学 |
研究代表者 |
磯部 美里 国際ファッション専門職大学, 国際ファッション学部, 准教授 (90738072)
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研究期間 (年度) |
2019-08-30 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2019年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 民族医学 / ジェンダー / タイ医学 / 中国 / 女性 / 治療実践 / タイ族 / 少数民族 / 民間療法 / ケア / 医療人類学 / かっさ |
研究開始時の研究の概要 |
中国雲南省西双版納タイ族自治州に居住するタイ族には「タイ医学」と呼ばれる民族医学が継承されている。 「タイ医学」はタイ族が信仰する上座仏教を構成する一つの知識体系であり、男性の出家経験者、知識保有者を中心に担われてきた。 しかし、日常生活においては、女性たちもまた「タイ医学」の治療実践を構成する重要なアクターとして参与している。そこで本研究では、先行研究ではあまり注目されてこなかった当地にみられる女性たちの治療実践について検討する。 本研究を通じて、男性中心的知識体系において周縁化されてきた女性たちが、自分や家族の身体に主体的に関与するために「タイ医学」を利用していることを実証する。
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研究成果の概要 |
本研究では中国雲南省西双版納に居住するタイ族の「タイ医学」を事例として、男性の僧侶経験者、知識保有者を中心に担われてきた「タイ医学」の日常的な治療実践、特に女性の治療実践を検討した。 具体的には、先行研究の整理、現地調査等での参与観察や資料収集をもとに考察や分析を行った。 その結果、女性の民族医はほぼいないが、日常的な不調への対応として、家庭内では女性たちが家族や友人に手当てをしていること、これも「タイ医学」の治療法の一つであることが明らかとなった。これより、タイ医学には権威主義に基づく男性中心主義が見られるが、日常的な家族のケアや治療では女性が中心となっていることが指摘できる。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
近代医療においてはしばしば医療従事者のジェンダー差異が問題視されてきた。他方、伝統医学/民族医学におけるジェンダー差異や女性の役割とその意義についてはあまり検討されていない。 本研究で明らかになったように、伝統医学/民族医学においても、正統な知識の継承者や医療従事者の中心をなすのは男性であるが、家庭内での治療まで範囲を広げれば、日常的な治療やケアの実践者は女性であった。 つまり、本研究は、民族医学の治療やケアにおける女性の役割に光を当て、その重要性を再検討するという社会的意義を持ち、医療人類学に新たな知見を提供するという意味において学術的意義を有すと考える。
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