研究課題/領域番号 |
19K23153
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0105:法学およびその関連分野
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研究機関 | 九州大学 (2020-2021) 京都大学 (2019) |
研究代表者 |
高岡 大輔 九州大学, 法学研究院, 准教授 (60850857)
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研究期間 (年度) |
2019-08-30 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2019年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 侵害警告 / 不正競争 / 不法行為 / 信用毀損 / 逸失利益 / 権利侵害警告 / 不当訴訟 / 営業権侵害 / 不正競争防止法 / 保護権警告 / 営業誹謗行為 / 不当差押え / ドイツ法 / 権利侵害警告による責任 / 不正競争防止法2条1項15号 |
研究開始時の研究の概要 |
裁判例及び先行研究において、権利侵害警告と名誉毀損や不当訴訟・不当保全処分との類比による責任判断がなされていた。しかし、それらの各事例類型における責任構造には差異があることが、既に有力な学説によって指摘されたところであった。 本研究は、ドイツ法との比較法的考察によって、とりわけ、ドイツにおける保護権警告(Schutzrechtsverwahnung)と不当訴訟との対比に関する議論を参照することを通じて、権利侵害警告と名誉毀損・不当訴訟等との責任構造の差異に応じた判断基準を明らかにすることを試みる。
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研究成果の概要 |
本研究では、企業に対するアンケート調査によって、いわゆる権利侵害警告の類型の潜在的な重要性を明らかにし、かつ、ドイツ法との比較から、日本法における紛争の特徴として明らかに争点が逸失利益に集中する傾向があることを示した。裁判例の分析により、具体的な損害賠償の内容として、いわゆる無形損害の形で、逸失利益としては証明しえなかった損害が再び考慮されていること、その場合には損害賠償金額が実際にも高額となる傾向になることが示された。 この裁判例の規律が妥当か否かは、民事上の信用毀損一般を視野に入れて、さらに検討されなければならない。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
民事上、信用毀損による不法行為責任の規律は明らかでなく、とりわけ名誉毀損に関する判例法理の射程との関係が問題となっている。ところで、信用毀損による不法行為責任についての民法学上の議論は、しばしば不競法上の信用毀損をモデルとして行われてきた。そして、権利侵害警告の事例は不競法上の信用毀損のうち最大の類型である。それゆえ、権利侵害警告をめぐる規律とその紛争の実態について分析することは、信用毀損一般を検討する上で必要な基礎を提供するものとなる。 また、権利侵害警告は不当な権利主張だという点で不当訴訟など重要な類型との共通点を有しており、損害賠償の内容の分析は、これら隣接問題の分析の手がかりとなる。
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