研究課題/領域番号 |
19K23161
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0105:法学およびその関連分野
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
小池 直希 早稲田大学, 法学学術院, 講師(任期付) (70844067)
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研究期間 (年度) |
2019-08-30 – 2021-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2020年度)
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配分額 *注記 |
2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2019年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | 故意論 / 錯誤論 / 責任論 / 現代社会型犯罪 / 特別賄賂罪 / みなし公務員 / 刑法 |
研究開始時の研究の概要 |
刑法上、故意は、犯罪成立のための要件のひとつであるが、故意の内容は犯罪類型によって大きく異なる。ところが、刑法学における従来の故意論は、薬物犯罪、環境犯罪、サイバー犯罪などの現代社会型犯罪の登場に対して、十分に対応することができていない。 このような問題意識から、本研究では、現代社会型犯罪それぞれの故意の特徴を比較・分析することで、規制する国家の側と規制される市民の側の双方の視点に配慮しつつ、犯罪成立のために要求されるべき故意の内容を具体的に提示することを予定している。 研究にあたっては、ドイツ法の知見の参照や、様々な犯罪類型の判例分析といった手法を用いる予定である。
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研究成果の概要 |
本研究では、特に現代社会型犯罪に着目して、故意の在り方について分析を加えた。判例分析としては、特別法によって規制されている賄賂罪の故意が争われた事案を検討し、賄賂収受者の身分についての認識の要否を明らかにした。また、従来主張されてきた、いわゆる「故意の提訴機能」を批判的に検討し、故意責任の一般理論を構築した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
刑法上、重い非難が向けられる故意責任の実体は、「故意の提訴機能」にあるのではなく、「法益侵害的心情」という心理的側面にある。それゆえ、故意を認めるためには、当該犯罪の保護法益を侵害していることを、行為者自身が素人なりに理解している必要がある。 この基準によれば、現代社会型犯罪では、評価的認識を要する場合がある。たとえば、みなし公務員規定を介した賄賂罪においては、賄賂収受者のみなし公務員性を基礎づける事実の認識では足りず、「みなし公務員であること」の認識まで要するというべきである。 上記理解は、理論的に正当であるのみならず、裁判員にとって簡明な故意の指針を提供しうる。
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