研究課題/領域番号 |
19K23174
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0106:政治学およびその関連分野
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研究機関 | 北海道大学 (2020-2022) 東北学院大学 (2019) |
研究代表者 |
斉藤 尚 北海道大学, 経済学研究院, 准教授 (20612831)
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研究期間 (年度) |
2019-08-30 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2019年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
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キーワード | 正義論 / ケネス・アロー / 市場の限界 / 民主主義 / 経済計算論争 / 社会契約論 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の目的は、主に一般可能性定理と厚生経済学の基本定理に対するケネス・アローの解釈と彼の思想の変遷を追い、彼の正義論を明らかにすることをつうじて、経済学的手法の適用範囲を定め、社会契約論による財の再分配を正当化する理論を提示することである。また本研究はテキストをデータ解析し、単語の頻度や共起分析などを行うテキストマイニングの手法を用いてこれらの解釈を裏付ける。最終的に、これらの研究成果は英語の単著として公表される。
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研究成果の概要 |
本研究の目的は、新古典派経済学および厚生理論の発展に多く貢献したケネス・アローの研究の背景にある思想を体系化することである。さらに、本研究ではアローの思想的変遷も明らかにした。結論として、アローは一方で情報伝達の可能性という観点から資本主義と民主主義の欠点を認めながらも、その欠点を補うために個人の倫理的関係や原初状態論における正義の選択の必要性を唱えた。アローが社会主義に賛同しないのは、それが権力の腐敗を招き、個人の自由を侵害するという理由からであった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究は、ケネス・アローの研究を支える思想を体系的に明らかにする初めての研究である。アローは社会的選択理論並びに新古典派経済学の発展に貢献しながらも、倫理的観点からその限界を指摘し続けた。その限界として指摘されたのが、社会的信頼などの社会関係資本や環境問題などである。それらの問題は現代でも深刻な問題であり、アローの思想を明らかにすることで、経済学的手法による問題解決の限界を指摘することができると考えられる。
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