研究課題/領域番号 |
19K23178
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0106:政治学およびその関連分野
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研究機関 | 茨城大学 (2020-2023) 早稲田大学 (2019) |
研究代表者 |
上田 悠久 茨城大学, 人文社会科学部, 講師 (70844546)
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研究期間 (年度) |
2019-08-30 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2019年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | ホッブズ / 助言者 / 君主制 / 国家 / 運営 / 主権 / 実践 / 政治学 / ヒューム / アリストテレス / 専制 / 暴政 / 習俗 / 方法 / 多元性 / 政治 / 宗教 / 啓蒙 / 助言 / マナーズ / 統治 / 法の支配 / 政治思想史 / トマス・ホッブズ / 政治体制 / 17世紀イングランド |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、人々を抑圧する強大な「リヴァイアサン」国家や絶対的主権者の存在を正当化したと言われるトマス・ホッブズが、実際には多元的なアクターによって構成される君主制のあり方を、政治学自体の見直しによって提示していたことを示す。本研究は彼の主著『リヴァイアサン』のテクスト分析を中心に、哲学的方法論の伝統や同時代のコンテクストとの関連にも留意して行われる。権威主義者という従来のホッブズ像に転換を迫る本研究は、思想史の重要人物に対する現代の見方を見直してきた昨今の政治思想史研究に貢献するだけでなく、政治組織や君主制にかんする今日の政治学研究にも示唆を与えるものである。
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研究成果の概要 |
本研究では、絶対的主権者の下で、法律家や政治家、聖職者など、王の助言者や代行者、すなわち多様な政治アクターが国家運営に参与するという、ホッブズの多元的な君主制社会の構想を明らかにすることができた。また、このような言説の背景には、君主制や政治学のあり方をめぐる論争があることも示すことができた。研究成果は単著『〈助言者〉ホッブズの政治学』として結実しただけで無く、18世紀の啓蒙思想におけるホッブズの受容など、関連テーマに関する検討について論文発表などを行うことができた。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究は政治思想史研究上のみならず一般にも普及する通念、すなわち「絶対主義的な主権論を唱える急進的かつ非現実的な哲学者」というホッブズに対する根強いイメージに転換を迫った。多元性の内実について更なる検討も必要だと判明したが、これは本研究テーマの学術的拡張可能性を示す証左とも言える。ホッブズは学校教科書に掲載されるなど誰もが知る人物であるだけに、そうした人物に対する固定的イメージに挑んだ本研究は一般にも大きなインパクトを持った。研究成果は大学Webサイトで特色ある研究として紹介されており、今後も一般向け出前講座や大学生向け教科書の執筆などアウトリーチ活動において活用する予定である。
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