研究課題/領域番号 |
19K23194
|
研究種目 |
研究活動スタート支援
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0107:経済学、経営学およびその関連分野
|
研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
栗田 健一 九州大学, 工学研究院, 学術研究員 (10845978)
|
研究期間 (年度) |
2019-08-30 – 2021-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2020年度)
|
配分額 *注記 |
2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2020年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2019年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
|
キーワード | 生活保護制度 / 福祉制度 / スティグマ / 漏給 / 不正受給 / パネルデータ分析 / 複数均衡 / 統計的差別 / 生活保護 / パネルデータ / 納税者 / 貧困の連鎖 / 進化ゲーム / 文化伝播 / 内生的選好 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では,スティグマ(社会的烙印)の概念を導入することによって,従来の理論研究では説明不可能であった漏給の現象を分析可能な理論モデルを開発し分析する.特に労働が不可能なタイプと労働可能なタイプの意思決定とスティグマを内生化したモデルを構築することで,不正受給と漏給,そしてスティグマが相互依存的に形成される状況を分析する.本研究は,これまで多くの実証分析が必要としていた理論モデルを提供し,より緻密で頑健な政策分析を行うことを目的とする.
|
研究成果の概要 |
貧困が深刻化する社会において福祉制度はより重要性を増している。福祉制度において、不正受給と漏給の問題がある。漏給とは福祉を受給する資格を有する真の貧困状態である家計が福祉を受給していないことを意味する。本研究は福祉制度におけるスティグマ(社会的烙印)の観点から福祉の受給に関する意思決定を理論と実証の観点から検証し、スティグマと不正受給、そして漏給の相互依存関係を分析した。特に既存の理論モデルでは説明不可能であった漏給の現象を均衡として説明可能な理論モデルを提示し、さらに理論分析の結果の一部をパネルデータを用いた実証分析により検証した。また、本研究結果の一部を査読付国際学術雑誌に掲載した。
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
福祉制度に関する経済学的研究は、労働インセンティブの低下や不正受給が生じる可能性に焦点を当てた分析が多く、特に漏給に関する理論的研究は少ない。一方、近年の実証研究は、漏給の問題が多くの先進国で生じており、特に日本は深刻であることを示している。しかしながら、標準的な理論モデルでは漏給は生じず分析することが不可能であった。本研究では、スティグマの概念を導入することで、理論分析と実証分析のギャップを埋めることに貢献しているという点で学術的意義がある。さらに本研究の理論・実証分析は、貧困との戦いに勝利するための社会福祉政策実現に貢献することが期待できるという点で本研究は社会的意義を持つ。
|