研究課題/領域番号 |
19K23196
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0107:経済学、経営学およびその関連分野
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研究機関 | 東北大学 (2020-2021) 大阪市立大学 (2019) |
研究代表者 |
尾関 規正 東北大学, 経済学研究科, 准教授 (60846038)
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研究期間 (年度) |
2019-08-30 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2019年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 財務会計 / 監査 / 不正会計 / 株価形成 / 第三者委員会 / 会計的裁量行動 / 監査人 / パートナー / 実証研究 / 経済的帰結 / 業績 / 監査人の交代 / 監査パートナー |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、日本の不正会計開示事例を用いて、不正会計発覚後の企業に起こる帰結の実態や、それが生じるメカニズムを実証的に明らかにすることを目的とする。財務報告における意図的な虚偽表示としての不正会計が発覚して外部に公表されると、それによる信頼性の低下は不正企業やその監査人に重大な影響を及ぼす。その影響を、企業の会計利益や監査パートナーに生じる変化を通じて測定し、不正会計発覚により生じる影響の実態を示す。また、発覚した不正会計の内容や企業または監査人の特性に基づいて、特にその影響を生じやすくする要因を特定する。不正会計発覚による帰結の理解を深めることを通じて不正会計の抑止に貢献する意義がある。
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研究成果の概要 |
本研究は,不正会計が発覚した日本の上場企業や担当していた監査人を対象として,不正会計の発覚によって生じる帰結の実態や,そのような影響を引き起こす決定要因を実証的に分析した。主要な成果は次のとおりである。不正会計が発覚した企業では第三者委員会による調査報告を行う場合に株価の下落が緩和する。不正会計による財務諸表の訂正を行った企業は発覚までの裁量的な会計行動を改め,その後の期間では財務報告の品質を改善する。過去の財務諸表を訂正した企業の訂正対象期間を担当した監査パートナーは,発覚した企業からだけでなく,他の担当クライアントからも担当を外されやすくなる。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
財務報告が株式市場における投資意思決定を支えるためにはその信頼性を確保することが必要となる。不正会計が発覚して財務報告の信頼が失われた当事者や関係者に生じる帰結は,財務報告の信頼性によって維持されていたものを示すと解釈できる。本研究の学術的な意義は,そのような財務報告の信頼性の毀損やその修復によって,企業や監査人の評価にあらわれる具体的な影響の実態を提示した点にある。また,そのような実態を示す社会的な意義として,信頼を失うことによるペナルティの大きさが示されることから,企業が不正会計を実行する判断の抑止や,監査人が行う監査品質の向上に貢献すると考えられる。
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