研究課題/領域番号 |
19K23219
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0107:経済学、経営学およびその関連分野
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研究機関 | 亜細亜大学 (2021-2022) 東京大学 (2019-2020) |
研究代表者 |
加藤 涼 亜細亜大学, 経済学部, 教授 (20843692)
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研究期間 (年度) |
2019-08-30 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2019年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 不確実性 / インフレ期待 / インフレ動学 / 不完全情報 / マクロ経済学 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、企業や家計が将来の経済状況(所得やインフレ率等)を予想するメカニズムの特徴を理論・実証の両面から明らかにすることを学術的な目的とし、得られた分析結果を日本における経済政策のより効率的・効果的な運用に役立てることを展望する。 まず、家計や企業が不完全情報のもとで意思決定を行っていることを前提に、どのように情報を更新しているのか現実的なモデル化を目指す。具体的には、インフレ期待や先行きの長期金利、潜在成長率といった要因が不完全にしか織り込まれないもとでの、家計や企業の経済行動の特徴を明らかにする。そのうえで、期待が不完全にしか調整しない経済において、望ましい政策運営に関する示唆を探る。
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研究成果の概要 |
本研究では、不完全情報下において、定常状態に関する情報が逐次的にしか蓄積されない場合の経済主体の行動をモデル化し、マクロ経済変動(特にインフレ率)の要因解明に取り組んだ。具体的な成果として、第一に「市場集中度が高い産業ほどインフレ率の慣性が高まる」ことを実証的に明らかにしたうえで、そのメカニズムとして、不完全情報下では市場集中度が低いほど期待更新スピードを遅らせることが最適となることを理論的に示した。 第二に、長期的な定常状態におけるインフレ率(トレンド・インフレ率)が不確定な動学的確率的一般均衡モデルを構築し、日本においてどのようにトレンド・インフレ率の低下が生じてきたかを分析した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
日本経済の長期にわたるデフレは、日本の政策担当者のみならず世界的にも関心の高い経済事象であるとともに、その原因については、多くの研究があるにもかかわらず完全には解明されていない。 本研究は、デフレが長期化する要因として、インフレ期待が低位で安定してしまうメカニズムを解き明かす一助となる。すなわち、インフレ期待の形成に、①市場構造と②情報構造がともに作用するメカニズムを理論・実証から提示した。加えて、2000年までのデータを用いて、日本でデフレが始まった時期について、トレンド・インフレ率の観点から検証を行った。これらの成果は、デフレのメカニズムについての今後の研究を進める足掛かりとなった。
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