研究課題/領域番号 |
19K23220
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0107:経済学、経営学およびその関連分野
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研究機関 | 大阪大学 (2020) 一橋大学 (2019) |
研究代表者 |
高橋 秀典 大阪大学, 国際公共政策研究科, 准教授 (80839796)
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研究期間 (年度) |
2019-08-30 – 2021-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2020年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2019年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 訴訟 / 交渉 / litigation / 医療 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、訴訟における裁判の遅延が訴訟の結果と効率性に与える影響を実証的に分析する。裁判の遅延は、裁判所が取り扱う膨大な訴訟件数と裁判官の不足に起因しており、関係者すべての時間コストを増大させることから、重要な社会経済的な問題として広く議論の対象となっている。しかし、裁判の遅延が実際に訴訟プロセス全体にどのような影響を与えているか、効率性を損なっているかは明らかでない。例えば、裁判の遅延により原告と被告の双方が長期にわたる裁判プロセスを敬遠すれば早期に和解が成立しうる。本研究では、米国フロリダ州における医療過誤に関する訴訟データを用い、裁判の遅延が訴訟プロセスに与える厚生効果を推定する。
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研究成果の概要 |
裁判の遅延は、和解交渉における訴訟当事者間の交渉力の優位性を歪め、司法制度の機能を低下させる。本研究では、裁判の遅延が、和解までにかかる時間への影響を推定した。裁判遅延がもたらす影響は、被告が責を負うか否かであるかによって異なる影響があることを実証的に示した。本研究での実証結果を説明可能な経済モデルは既存文献に存在しないため、実証結果に整合的な動学的交渉モデルを構築、定式化した。裁判の遅れによって有責である被告を除く当事者が全て不幸になることを示し、「裁判の遅延は正義の否定に等しい(Justice Delayed is Justice Denied)」という法の格言を経済モデルを用いて示した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
まず、本研究は裁判の遅延と訴訟の結果の間の因果関係を示した最初の研究である。裁判の遅延は交渉における交渉力のバランスを乱し、交渉のタイミングだけではなく社会厚生への影響が懸念される。裁判の遅延の問題が長期にわたって論議されていることと、この問題が米国だけの問題ではないことから、このような研究の価値は高いと言える。また、実証結果に基づいた理論研究は著者が知る限りにおいて既存文献には存在しないため、本研究ではエビデンスに基づいた訴訟交渉モデルを構築する。
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