研究課題/領域番号 |
19K23248
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0108:社会学およびその関連分野
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研究機関 | 東京都立大学 |
研究代表者 |
仁井田 典子 東京都立大学, 人文科学研究科, 客員研究員 (00852170)
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研究期間 (年度) |
2019-08-30 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2019年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 社会運動 / 女性 / 個人化 / 共感 / 貧困問題 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、2008年に「女性の貧困の可視化」を目的として立ち上げられた「女性と貧困ネットワーク」を対象とし、活動に積極的に関わる女性たちに焦点をあてる。これまで運動体において周縁化されてきた女性たちの社会運動とはどのようなものなのか。「個人化」の進行により、人と人とのつながりが希薄化して個々人がバラバラになるなかで、女性たちそれぞれが活動に対してどのような考えや思いを持ってひとつの組織のなかでいかにして共に活動し得ているのか。これらの点についてインタビューやドキュメント分析を用いて明らかにする。
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研究成果の概要 |
本研究では、2008年に立ち上げられた「女性と貧困ネットワーク」に積極的に関わった女性たちへのインタビューをもとに、つながりが希薄化して個人がバラバラにされていく「個人化」が進行するなかで、彼女たちが自分と同じような状態におかれている他者に対する「弱さ」への共感により、対等な立場から互いを気づかい合うことで、つながりをみいだしていることを明らかにした。特に20~30代の女性たちは、社会的に存在しない者として扱われ、社会規範により存在が問題視され、家庭や職場で補助的な労働を押しつけられるといった社会が生み出す矛盾を、自分たちが抱え込まされていることに対して怒り、その怒りを社会に表出しようとした。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
今日の日本社会において「個人化」が進行するのに伴い、社会運動や労働運動に対する社会的関心が低下している。また、そうした運動の集まりでは、その多くで男性中心の運営が行われていると指摘される。そうしたなか、「女性と貧困ネットワーク」では、女性たちが他者に対する「弱さ」への共感によりつながりをみいだしていることを明らかにした。本研究は過去に活動していた集まりを調査対象としているが、コロナ禍を経て女性の貧困の問題に対する女性たち自らの異議申し立てが鳴りを潜める現在の日本社会において、「女性の貧困」とはどのような問題であるのかについての解明に大いに貢献するものと考える。
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