研究課題/領域番号 |
19K23264
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0108:社会学およびその関連分野
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
李 怡然 (清水 怡然 / 李怡然) 東京大学, 医科学研究所, 助教 (20850366)
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研究期間 (年度) |
2019-08-30 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2019年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
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キーワード | 遺伝情報 / ゲノム / 遺伝学的検査 / 子ども / 家族 / 生命倫理 / 遺伝子検査 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、日本において子どもを対象とする遺伝子検査に関するルールが、ゲノム解析技術の進展と米国からの影響を経てどのように変遷したかを明らかにすることを目的とする。 近年、個人の遺伝情報に基づき診断や治療法の選択につなげるゲノム医療が、特にがんの領域において推進され、小児の遺伝子/ゲノム解析の実施も進められている。小児自身は意思決定ができないゆえ、親が代諾して同意するが、子どもの意思の尊重や権利保護に関する倫理的な課題が指摘される。本研究では、医療・医学の指針・ガイドラインの文献調査を通し、子どもの遺伝子検査をめぐる論理について、がん領域での変化、ならびにがん以外の疾患領域への影響を考察する。
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研究成果の概要 |
本研究では、小児・未成年を対象とする遺伝学的検査・ゲノム解析をめぐって、(1)診断・治療など子の利益に直結しない検査・解析の是非、(2)二次的所見の取り扱いを含む結果返却方針、(3)子の意思確認とインフォームド・アセント(賛意・了承)を得る上での課題を軸に、文献を通して米国や欧州で展開されている議論を把握した。海外の議論の現状を参照点にしつつ、日本における遺伝学的検査と網羅的ゲノム解析実施の現状を把握し、規範やルールの変化への影響を考察した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
今日、ゲノム医療や大規模な全ゲノム解析研究が推進されており、小児・未成年が対象となる場合の代諾、結果返却を含めた子本人の意思確認など、方針の検討が急務となっている。本研究は、米国や欧州で展開されている「子にとっての最善の利益」と「血縁者・家族にとっての利益」といった賛否の論拠、議論の争点を明らかにし、海外と比較した日本のルールの現状や変化の程度を明らかにするという社会的意義がある。これらは、遺伝学的検査が実用化された1990年代に提唱された「知らないでいる権利」や「未来への開かれた権利」等の古典的な議論と技術革新を経た現在を接続し、子どもの権利保護や家族観をめぐる議論と交差する展望をもつ。
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