研究課題/領域番号 |
19K23273
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0108:社会学およびその関連分野
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研究機関 | 大妻女子大学 |
研究代表者 |
桶田 敦 大妻女子大学, 文学部, 教授 (50848504)
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研究期間 (年度) |
2019-08-30 – 2021-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2020年度)
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配分額 *注記 |
2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2019年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | トリチウム水 / 風評被害 / 復興 / 第一原発事故 / 原発事故 / テレビ報道 / 放射線リスク / 東日本大震災 / 情報の書き換え / 福島第一原発 / 震災復興 |
研究開始時の研究の概要 |
2020東京オリンピックは「復興五輪」と銘打たれているが,原発事故からの復興が半ばである「福島」を在京および当該地域の放送局が,「原発事故」と「復興」をどのように報じるのかを,放送の内容分析を行って明らかにする.更に,各局の報道担当者にインタビューを行い,キー局と在福島局との間の伝え方の差=議題設定の差などについての比較検討も同時に行う. テレビ報道における原発事故の内容分析は,事故直後のものがほとんどであり,かつ,事故からの復旧,復興期における民放キー局と在福島局の差異を明らかにする研究は他にはなく独自性のあるものである.
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研究成果の概要 |
本研究では,福島第一原発事故によって生じた汚染水の処理,特に「トリチウム水」の海洋放出が具体性を帯びてきたのを受け,福島県の漁業に対する風評被害の実態を明らかにすると共に,福島県民や消費地である東京都,大阪府の住民に対してアンケート調査や聞き取り調査を行った. その結果として,福島県産の海産物の購買意欲において,福島県民と東京・大阪の住民とでは明らかに差があり,福島の漁業関係者からみれば風評被害が存在することが明らかとなった.また,購買意欲の差は,第一原発事故の報道量の差と相関し,事故後9年を経てもなお深刻さを伝える報道が多い東京ほど風評被害を生んでいることが明らかになった.
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
福島で語られる「風評」は時として実態がなく捉えどころがない.消費地である東京や大阪において,福島県産特に魚介類を買わない理由として「放射能リスク」をあげる住民が多かったことは,福島県の漁業関係者からすれば「風評被害」である.また報道量が多いほど「風評被害」を生じさせていることが確認されたことは学術成果として大きい.こうした報道は主に福島発ではなく東京発のものであり,事故後10年を経ても第一原発事故の深刻さを物語る報道が多いことが理由である. そういった意味では,福島が復興に向かって着実に歩んでいることをあらゆるメディアを利用して国民や世界に伝える事の必要性が改めて浮き彫りになった.
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