研究課題/領域番号 |
19K23340
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0109:教育学およびその関連分野
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研究機関 | 大阪大学 (2020-2022) 広島大学 (2019) |
研究代表者 |
小川 未空 大阪大学, 大学院人間科学研究科, 助教 (40848610)
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研究期間 (年度) |
2019-08-30 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2019年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | ケニア / 中等教育 / 高等教育 / 追跡調査 / COVID-19 / 教育格差 / アフリカ / 政策文書 / 進学 / 進学格差 / 高等教育機会の多様化 / 中等教育から高等教育への移行 |
研究開始時の研究の概要 |
独立以降のケニアにおいて、初等・中等教育は、国際社会の後押しを受け急速に拡大してきた。反面、労働市場は十分に拡大していないため、多くの中等教育修了者は就職難に直面し、高等教育へのアクセスを余儀なくされている。高等教育はしかし、その質が十分に担保されないままに、土日教育や夜間教育、遠隔教育など種々の履修制度を提供しながら農村部へも拡大している。 本研究では、中等教育修了生を対象とした質的な追跡調査を実施し、どのようなプロセスで、いかなる高等教育へアクセスしているかを明らかにする。そして、その動向を整理・分析することで、高等教育機会の多様化が教育格差におよぼす影響について考察する。
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研究成果の概要 |
基礎教育が急速に普及するケニアでは、高等教育の質とアクセスの保障という課題に直面している。本研究では、農村部の通学制中等学校の卒業生に焦点を当てることで、中等教育へアクセスできるようになった人びとが、中等教育修了後にいかに高等教育へアクセスしているかを明らかにした。その結果、脆弱な環境にある学生は成績が高ければ奨学金を得られるものの、必ずしも質の高い大学へ進学できるわけではなく、その反面、経済的制約の少ない学生は、成績が奨学生に及ばずとも私費で有名大学へ進学できていた。高等教育への進学を求める学生にとって不公正な状況が生み出され、教育が普及してもなお格差が生成されている様相が明らかとなった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究の対象国であるケニアでは初等・中等教育が急速に普及している。しかし、教育の普及そのものは必ずしも人びとの生活改善に接続していない。とりわけ、中等教育修了後すぐに労働市場へ移行することが容易ではなく、学力下位の生徒であっても高等教育を経由する必要が生じているためである。先行研究では基礎教育をめぐる「アクセス」や「教育の質」についての問いが主流であり、基礎教育修了後の「アウトカム」や「アウトプット」に焦点を向けた調査が不足してきた。本研究ではその視点を補うことにより、中等教育修了者の修了後の動向を明らかにし、教育格差が生まれる一要因を新たな観点から捕捉した点で意義がある。
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