研究課題/領域番号 |
19K23357
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0109:教育学およびその関連分野
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研究機関 | 長崎外国語大学 |
研究代表者 |
金子 奈央 長崎外国語大学, 外国語学部, 特別任用講師 (60761088)
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研究期間 (年度) |
2019-08-30 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2019年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 移民 / 難民 / 公教育 / インフォーマル教育 / 社会的包摂 / マレーシア / 外国人 / 多民族社会 / 学校教育 / ノンフォーマル教育 |
研究開始時の研究の概要 |
年々増え続ける移民や難民に対し、受け入れ側が彼らを「よそ者」としてその境界線を強調し排除することで社会的安定を取り戻そうとする動きがある。このように安定を求めて不寛容となる世界情勢の中で、移民や難民を包摂した社会統合は受け入れ側社会にと って大きな挑戦となっている。本研究は上記のような世界情勢に対する問題意識に基づき、フィリピンやインドネシアからの移民や難民を包摂するかたちで長年社会づくりがなされてきたマレーシアサバ州に焦点を当て、移民や難民を包摂した国家制度の再編と新しい「寛容」な社会モデルについて教育から分析する。
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研究成果の概要 |
本研究はマレーシアのサバ州を調査対象とし、移民および難民コミュニティがアクセスしている教育の実態を、現地調査を通して明らかにすることを試みた。サバ州を含めた周縁まで中央集権的な国民教育制度は行き渡り、国民教育を受けられる対象の明確化(国民の線引き)が進んだ。その結果、2000年代半ばからサバ社会の重要な構成員でありながら「マレーシア国民でない人たち」の国民教育制度へのアクセスが困難になったことで、移民や難民の子どもたちを対象とした教育の場が国民教育制度外で発展した。社会の重要な構成員である彼らが持つステータスが複雑かつ混淆であることが、これらの教育プログラムおよび担い手の多様性に繋がっている。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
マレーシアのサバ州は、社会の重要な構成員として移民・難民など「マレーシア国民でない人たち」を包摂し、その時代時代に置かれている状況を踏まえ常に社会を(再)構築しながら長年社会づくりをしてきた。2000年代以降は、サバ社会とマレーシアとの関係(連邦-州関係)や、サバ社会と移民、難民の関係が大きく変化し、またマレーシア国民の明確化が進んだことで、より「ナショナル」な仕組みの中で、流動性や混淆性の高い社会を統合していくのか、その動態を最も「ナショナル」な制度としての特徴の強い教育から考察したことは、寛容と安定を両立した社会づくりのひとつのモデルケースを提示するという意味で社会的意義のある研究である。
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