研究課題/領域番号 |
19K23369
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0110:心理学およびその関連分野
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研究機関 | 中央大学 |
研究代表者 |
都地 裕樹 中央大学, 研究開発機構, 機構助教 (50847184)
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研究期間 (年度) |
2019-08-30 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2021年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2019年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 瞳孔径 / 同調 / 乳児 / 発達 / 社会的認知 / 皮膚電気反応 / 瞳孔 |
研究開始時の研究の概要 |
ヒトは表情や視線を用いて感情や意図を伝えたり受け取ったりする能力を有しているが,このような能力がいつどのようにして発達するのかいまだ十分に明らかになっていない.本研究では,対面コミュニケーションにおいて他者の視線に含まれる感情や意図に対して感情を持って反応する能力が,いつどのようにして発達するのか生理指標を用いて明らかにする.そこで,乳児を対象にコミュニケーションの場においてみられる他者の瞳孔径の動的な変化に対応した瞳孔径の同期現象を調査する.すなわち,自律神経系により制御され感情の発現を示す瞳孔径の同期現象の変化を明らかにすることで,感情や意図を理解する能力の認知的基盤の発達を明らかにする.
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研究実績の概要 |
5,6ヶ月の乳児の瞳孔径の同調現象に顔の倒立効果がみられるか検討した研究が国際論文誌に採択された(Tsuji, Y., Kanazawa, S., & Yamaguchi, M. K. (2022). Face-specific pupil contagion in infants. Frontiers in Psychology, 12, 789618.)。具体的には、瞳孔径が徐々に拡大する女性の顔と、瞳孔径が徐々に縮小する女性の顔を実験刺激として5,6ヶ月の乳児に呈示したときの瞳孔径を測定した。顔の倒立効果を検討するために正立呈示したときと倒立呈示したときの乳児の瞳孔径の変化を比較した。その結果、顔を正立呈示したとき、縮小する瞳孔径より、拡大する瞳孔径を観察した時の乳児の瞳孔径は大きくなった。一方で、顔を倒立呈示したときは、縮小する瞳孔径を観察した時と、拡大する瞳孔径を観察したときで乳児の瞳孔径の変化にこのような差は見られなかった。これらのことは、乳児の瞳孔径の同調現象に顔の倒立効果があらわれることを示している。以上のことから、乳児の瞳孔径の同調現象が顔特有の効果であることを明らかにした。 また、この乳児の同調現象は情動反応を伴うか明らかにするために、皮膚電気反応を計測した。その結果、瞳孔径の縮小を繰り返し観察した後に、瞳孔径の拡大を観察すると、乳児の瞳孔径は拡大し、皮膚電気反応は増加したが、瞳孔径の拡大を繰り返し観察した後に、瞳孔径の縮小を観察すると、乳児の瞳孔径は縮小したが、皮膚電気反応に変化はなかった。さらに、目の領域だけ呈示したときは、拡大・縮小する瞳孔径の同調現象は生じたが皮膚電気反応に変化はみられなかった。この成果に基づいた論文を現在投稿準備中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新型コロナウィルスの感染拡大のため、追加実験の実施が困難であったが、5,6ヶ月の乳児の瞳孔径の同調現象に顔の倒立効果がみられるか検討した研究が国際論文誌(Frontiers in Psychology)に採択された。 以上のことから、本研究課題の進捗状況はおおむね順調に進展したと言える。
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今後の研究の推進方策 |
乳児の瞳孔径の同調現象が、単なる輝度変化に対する瞳孔反射であり社会的認知と関与していない可能性が以前残っている。さらなる研究では、瞳孔径の同調現象の社会的側面を捉えるため、乳児の瞳孔径の同調現象に人種効果が生じるか検討する。
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