研究課題/領域番号 |
19K23376
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0110:心理学およびその関連分野
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研究機関 | 同志社大学 (2022) 慶應義塾大学 (2019-2021) |
研究代表者 |
津田 裕之 同志社大学, 心理学部, 助教 (70847863)
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研究期間 (年度) |
2019-08-30 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2019年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 視覚記憶 / 視覚認知 / 記憶容易性 / 質感 / 絵画 / 絵画様式 / 画像処理 / 記憶バイアス / 記憶 / 顔 / 画風 / 視覚 / ワーキングメモリー / 深層学習 |
研究開始時の研究の概要 |
高度な視覚機能を持ち、また視覚文化を発展させてきた人類にとって、画像情報の持つ重要性は大きい。情報の伝達や記録の媒体として人は日々膨大な量の画像情報を日常生活のあらゆる場面で利用している。画像を用いた情報伝達やコミュニケーションが効果的であるには、目にした画像が簡単に忘却されてしまうことなく記憶に強く残ることが重要である。本研究は、写真画像に対して質感やスタイルに変調を加える操作を行うことでその画像の記憶しやすさ(記憶容易性)がどう変化するかを検討した。
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研究実績の概要 |
本研究は、写真画像の質感を画像処理技術によって操作することで、画像の記憶特性にどのような変容が起こるかを解明することを目的としている。本研究計画のこれまでの研究から、深層学習技術を用いて、風景写真画像に対して絵画的スタイルを与える(スタイル転写を行う)ことで、写真画像の短期記憶にバイアスが生じることが明らかとなった。すなわち、記憶された風景画像を想起する際に、特定の絵画的スタイルの画像が回答されやすいというバイアスが見出された。このようなバイアスは短期記憶と長期記憶の両方で見られたが、バイアスの生じ方は両者で異なっていた。数理モデルを用いてこれらのバイアスの生起メカニズムについて検討をおこなった。 今年度は顔画像を用いた記憶実験を実施した。顔写真に対して肌質感を操作する加工を行い、元写真に比べて肌にシワが増えた画像や、その反対にシワのない滑らかな肌の画像を作成した。それらの画像を用いて記憶の再認課題(old/new課題)を実施した。その結果、肌の質感操作によって回答にバイアスが生じることを示唆する結果を得た。すなわち、滑らかな肌質感の顔に対してはold反応が生じやすく、シワの多い肌質感の顔に対してはnew反応が生じやすかった。 また、前年度から進めていた、顔の質感(光沢・シミ・シワ・色味・陰影など)を操作・編集する画像処理プログラムを開発する研究について、論文が Behavior Research Methods 誌に採択され、出版された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新しい研究課題として顔の記憶実験を実施し、肌質感の操作によって記憶特性に変化が生じることを示唆する結果を得た。また、前年度に実施した研究が論文として出版された。
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今後の研究の推進方策 |
顔の記憶実験について、今年度中に追加実験を実施し、その成果を論文としてまとめる。また、本研究課題において得られた知見に基づいて、画像の記憶のしやすさを向上または低下させると予想される画像特徴についての数理的な表現と理解を進める。
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