研究課題/領域番号 |
19K23383
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0110:心理学およびその関連分野
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研究機関 | 奈良教育大学 |
研究代表者 |
中西 陽 奈良教育大学, 学校教育講座, 特任准教授 (30846845)
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研究期間 (年度) |
2019-08-30 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2019年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 自閉スペクトラム症 / 抑うつ / 不適応行動 / ソーシャルスキルトレーニング / ソーシャルスキル / 社会的スキル / 自閉症スペクトラム障害 / 予防 |
研究開始時の研究の概要 |
自閉スペクトラム症(ASD)児は二次的な問題として、抑うつ症状を引き起こす事例が多く、児童期から青年期にかけて問題が悪化しやすいことが示されている。本研究は、このようなASD児の抑うつ症状に対する予防要因としてソーシャルスキルについて着目し、その効果について検証するものである。 本研究では、ソーシャルスキルを不適応行動の少なさの観点から測定する尺度の開発、加えてソーシャルスキル (対人場面での適切な行動の多さ、不適応行動の少なさ) が抑うつに及ぼす影響について縦断的検討を行う。これらの検討から、ASD児の抑うつ症状の問題に対する予防的支援に関する理論的基盤の確立を目指す。
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研究成果の概要 |
本研究では自閉スペクトラム症(ASD)児の不適応行動を測定する尺度を作成し、信頼性と妥当性を確認した。また、作成した尺度を用いて、一般の子どものASD特性の個人差がどのようなプロセスで抑うつ症状に関連するかを検討した。その結果、対人場面での適応行動の少なさと対人場面での消極的な行動や活動に無関心な態度を示す行動といった不適応行動の多さは子どもの主観的な友人関係の適応感を媒介して抑うつ症状を強める要因であることが明らかになった。以上の結果より、ASD児の抑うつの予防には集団への参加に対する消極的な行動やその背景要因に焦点を置きながら友人関係の支援を検討していくことが重要であることが示された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究において、ASD児に特徴的な対人場面での不適応行動を測定する尺度が作成されたことにより、今後のASD児に対するソーシャルスキル支援において信頼性と妥当性のある効果測定を実施することが可能となった。このような臨床的意義に加えて、今後本尺度を利用することで、ASD児の不適応行動と様々なの変数との関連を明らかにすることができるだろう。また、対人場面での不適応行動の改善に対する支援が友人関係の適応を高め、抑うつを予防するというモデルが実証されたことは、今後のASD児の抑うつに対する予防的支援の理論的基盤を提供したと考えられる。
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