研究課題/領域番号 |
19K23433
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0202:物性物理学、プラズマ学、原子力工学、地球資源工学、エネルギー学およびその関連分野
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研究機関 | 国立研究開発法人理化学研究所 |
研究代表者 |
関 和弘 国立研究開発法人理化学研究所, 量子コンピュータ研究センター, 研究員 (40708533)
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研究期間 (年度) |
2019-08-30 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2019年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 量子多体系 / 強相関電子系 / 量子計算 / 補助場量子モンテカルロ / 電子格子相互作用 / 量子エンタングルメント / 有限温度物性 / block拡張有限温度Lanczos法 / リング交換相互作用 / 物性物理学 / 計算物理学 / 理論物理学 / モット絶縁体 |
研究開始時の研究の概要 |
ある物質が金属か絶縁体か等の性質はバンド理論により説明できることが多い。一方で、バンド理論では金属であることが予測されるが実際は絶縁体であるという、バンド理論では物性を説明できない物質もあり、銅酸化物高温超伝導体の母物質や分子性結晶はそのような物質と考えられる。これらの物質では電子密度や温度等に応じて電子状態が(絶縁体・超伝導・金属の間を)著しく移り変る特徴があり、この特徴は、その物性の記述には多体効果が欠かせないことを示唆する。本研究は、銅酸化物で観測される超伝導転移温度以上の温度でも状態密度にギャップが開くように見える現象に着目し、多体効果を取り入れたモデル計算を用いてこの現象を調べる。
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研究成果の概要 |
本研究ではドープされたモット絶縁体で観測される現象の解明を目指して、量子多体系の基底状態や有限温度物性の計算に取り組んだ。具体的にはHubbard-Holstein模型に対する量子モンテカルロ法を用いた基底状態相図の計算や、リング交換相互作用のあるHeisenberg模型の有限温度物性の計算を行なった。 また、本研究開始時期の前後から進展を続けている量子コンピュータの量子多体系計算への応用可能性に着目し検討を行なった。具体的には量子スピン模型の解析に有用な一種の共鳴原子価結合(RVB)型変分波動関数を量子回路上で構築する方法の提案や、量子多体系研究のための量子アルゴリズム提案等を行なった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
Hubbard模型やHeisenberg模型や横磁場Ising模型は、量子力学に従い相互作用する固体中の多数の粒子(電子やスピン)の模型として、物性物理学分野で物性の理解に役立てられている。一方で近年の量子コンピュータ研究開発の盛り上がりの中で、これらの模型が示すダイナミクスや基底状態等は、物性物理の枠を超えて量子コンピュータ研究開発を行う企業等の研究グループによりベンチマークとして用いられる機会が増してきている。本研究成果の中で、とりわけ初期に行なったRVB型波動関数の量子回路表現と実機による実証を行なった研究は、近年のこのような流れに先駆けたものである点に学術的意義がある。
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