研究課題/領域番号 |
19K23446
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0203:素粒子、原子核、宇宙物理学およびその関連分野
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研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
廣島 渚 富山大学, 学術研究部理学系, 助教 (60845741)
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研究期間 (年度) |
2019-08-30 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2019年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 暗黒物質 / 構造形成 / ガンマ線 / 暗黒物質探査 / 矮小楕円銀河 / 可視光 / ガンマ線観測 / 可視光観測 / 銀河 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では暗黒物質の正体の解明に向けて、理論・可視光観測 ・ガンマ線観測を一本化して最も有力な候補粒子の性質を確実に制限する。既存の制限で特に重要なのは矮小楕円銀河のガンマ線観測であり、暗黒物質のサブハロー、空間分布、ガンマ線フラックスの上限値という3つの要素からなる。従来、各要素は独立に研究されていた。本研究ではこれらを統合することで各研究での不定性を整合的に取り入れ、暗黒物質の性質をより確実に制限する。具体的には3つの研究(a)解析的手法による暗黒物質サブハロー分布の決定、(b)可視光観測による矮小楕円銀河質量分布の決定、(c)フェルミ衛星データを用いたガンマ線解析を展開・連携する。
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研究成果の概要 |
本研究では天の川銀河の暗黒物質ハローのサブ構造としての矮小楕円銀河のハローに注目し、サブ構造としての矮小楕円銀河の形成史の考慮することで可視光観測から得られる暗黒物質空間密度分布評価の精度を向上し、この評価に基づきガンマ線データを使ってweakly interacting massive particle (WIMP) と呼ばれる候補粒子の対消滅断面積の制限を再評価した。本研究で得られた対消滅断面積の制限は従来のものより2-6倍程度弱いものとなりうることを示した。また、複数の関連研究を遂行した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
サブハローとしての矮小楕円銀河ハローの特徴に着目することで、物理過程に即した形で密度分布の評価が向上した。構造形成の文脈での暗黒物質とその対消滅シグナルの探査を直接的に結びつける成果である。本研究では対消滅断面積に対して従来よりも数倍程度弱い永源が得られ、銀河中心方向の過剰ガンマ線シグナルに対する暗黒物質解釈が矮小楕円銀河の観測からは棄却できないことを示すものであり、その起源に関してさらなる議論や検証が必要なことを示唆するものである。また、関連研究の遂行により、暗黒物質候補としてWIMPに限った場合でさえも多波長の観測量を組み合わせることの重要性を再確認した。
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