研究課題
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鳥類は地球上の隅々まで生活圏を広げ,1億5000万年間も繁栄を続ける唯一の陸上脊椎動物である.手厚い子育てを行う独自の繁殖方法の獲得が,成功の要因のひとつと考えられる.しかしながら,初期鳥類(中生代鳥類)の繁殖に関する研究は乏しく,鳥類が独自の繁殖戦略を獲得するまでの経緯は不明である.そこで本研究は,「鳥類の繁殖戦略はどのように進化したか」を問うため,①繁殖戦略の指標のひとつとなる初期鳥類の卵の形状とサイズを推定し,その上で②繁殖戦略の変遷を明らかにする.
本課題は,初期鳥類の卵形状や卵サイズを復元し,鳥類進化の初期段階での繁殖様式の変遷を探るものである.卵の形状に関しては,兵庫県丹波市から産出した前期白亜紀の卵化石を中心に研究を行った.本標本は鳥類に極めて近縁な獣脚類に属すると推定され,現生鳥類に比べると非常に細長い形状をしている.本研究によって,卵形状は骨盤形態と関係しており,形状の変化は鳥類に至ってからであることが確かめられた.また,卵サイズに関しては,現生データに基づいて骨盤の幅から卵サイズを推定する回帰式を作成した.これにより,骨格化石だけからでも相対的な卵サイズの推定が可能となり,初期鳥類は相対的に小さな卵だったことが推測された.
鳥類は比較的大型の卵を産み,抱卵するなど,独自の繁殖様式を持つ.本研究では,鳥類の繁殖様式がどのように獲得されたのかを,初期鳥類に焦点を当てて考察している.これまで,中生代の鳥類は卵化石に乏しく,詳細な研究は少なかった.そこで本研究では新たな化石試料を見出し,卵形状の進化変遷を考察した.また,骨盤化石から卵サイズを推定する方法を考案することで,卵化石が見つかっていない分類群でも卵サイズの推定が可能となった.凡庸性の高い手法の開発により,今後,鳥類をはじめとする絶滅主竜類の繁殖様式の理解が進むと期待される.
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