研究課題/領域番号 |
19K23460
|
研究種目 |
研究活動スタート支援
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0204:天文学、地球惑星科学およびその関連分野
|
研究機関 | お茶の水女子大学 |
研究代表者 |
神山 翼 お茶の水女子大学, 基幹研究院, 助教 (40845715)
|
研究期間 (年度) |
2019-08-30 – 2021-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2020年度)
|
配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2019年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
|
キーワード | 西岸境界流 / 同期現象 / 偏西風ジェット |
研究開始時の研究の概要 |
黒潮とメキシコ湾流は,互いに北米大陸の反対側に位置し,海洋内部の過程のみでは数年規模の時間スケールで情報のやり取りをすることはないが,申請者が両海流の続流域における領域平均海面水温の時系列を計算したところ,これらの海流において顕著な同期現象が検出され,我が国の気象に密接に関係する「偏西風ジェットの南北移動」と密接に関係することが示唆された。申請者はこの現象を「境界流同期」と定義し,その物理的メカニズムと我が国の気象への影響を明らかにする。
|
研究成果の概要 |
黒潮とメキシコ湾流は,数年以内に海洋プロセスによって熱を交換することは不可能であるが,本研究では衛星観測と全球気候モデル(GCM)のデータ分析に基づき,大気ジェット気流の南北移動によって黒潮とメキシコ湾流の海面水温が10年単位で同期していることを示した。 全球気候モデルのシミュレーションについて,解像度が高いGCMは,解像度が低いGCMよりも,低周波数において高いコヒーレンスを示した。ラグ相関分析では,2つの海流間の水温変動がほぼ同位相であることが示された。大気GCM実験では,西岸境界流の海面水温変動が西ジェット気流の位置を能動的に変調しうることを示された。
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本課題で調査した境界流同期現象は,偏西風ジェットの位置決定および猛暑や豪雨に重要な役割を果たすと考えられる。たとえば研究代表者の結果では,2018年7月の気温が境界流同期指標でよく説明された。また近年,西岸境界流は地球温暖化が速いことが指摘されているが,これを「偏西風ジェットの極側シフト」と関連づけることで,我が国の気象の支配要因を明らかにする一助となることが考えられる。 学術的には,「中緯度海洋は大気に受動的に応答する」という従来の見方か,あるいは近年の研究報告に基づき「中緯度の大気海洋結合系をなす」と解釈すべきかについて,理論構築やモデル実験等を通して物理的解釈を確立する一助となる。
|