研究課題/領域番号 |
19K23468
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0204:天文学、地球惑星科学およびその関連分野
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研究機関 | 気象庁気象研究所 |
研究代表者 |
澤田 謙 気象庁気象研究所, 気象観測研究部, 主任研究官 (10847205)
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研究期間 (年度) |
2019-08-30 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2019年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 変分法データ同化 / 制約付き最適化 / 降水再現性 / スピンダウン / スピンアップ / データ同化 / 水蒸気量 / 最適化問題 |
研究開始時の研究の概要 |
気象現象シミュレーションの予測精度向上のためには高度なデータ同化手法を用いた高品質な初期値が不可欠である。しかしながら、現在の変分法同化手法による初期値を利用するとモデル変数間の水蒸気量に関するバランスが崩れ、予報初期に降水が過度に集中してしまうスピンダウンと呼ばれる現象が起こる場合がある。そこで本研究では、制約条件つき最適化理論を応用し物理的に適切なバランスのとれた水蒸気量をもつ初期値を作成する機構を変分法同化手法に導入することでスピンダウン問題の解決を目指す。
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研究成果の概要 |
この研究では、従来のデータ同化システムで時折引き起こされる予測初期における降水表現が実際よりも過剰(スピンダウン)もしくは過少(スピンアップ)となる問題の解決に向けて、モデル変数間の水蒸気量バランスを保つ仕組みを導入することで、観測データや予測モデルとの整合性がより良い高品質の初期値を作成することを試みた。新手法では従来法に比べ、大気中下層で平均的には水蒸気量が減り気温が上がることで観測データに近づきつつも、降水現象のトリガーとなりうる領域では局所的な高相当温位域を解析し、降水を形成する対流の円滑な生成を促し、結果として予報初期の降水再現性が向上することが確かめられた。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
この研究で開発した手法は上下限がある相対湿度を変分法同化システムで同化する際に、簡便な制約条件付きの最適化問題の解法を応用したものであり、複雑な多自由度系での同化システムにおいて比較的簡便な方法でバランスの取れた品質の良い初期値が得られることが確かめられたことは学術的に有意義である。また、この手法により深刻な豪雨事例の予測が改善されることは防災・減災に直接的に関連するため、大きな社会的意義を持っている。
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