研究課題
研究活動スタート支援
星の進化過程で、若い星周りには原始惑星系円盤と呼ばれる幾何学的に薄い円盤が形成する。この円盤は惑星系の母天体であるため、その形成や進化を解明することは特に天文学・惑星科学分野において重要である。本研究では、原始惑星形円盤の主成分であるガス・ダストの物理的・化学的な構造を明らかにするため、輻射多流体シミュレーションを遂行する。既に開発している輻射流体数値計算コードを多流体コードにアップデートし、ガスとダストの力学的・化学的進化を独立かつ自己整合的に追う。円盤内ガス・ダストの多次元的な分布を数値計算で直接的に求め、次世代望遠鏡による高解像度観測との比較が可能な円盤モデルを世界に先駆け構築する。
本研究では惑星系の起源を解明することを目的に、惑星誕生の現場である原始星円盤・原始惑星系円盤の内部構造について理解する研究を理論・観測の両側面から行った。主な成果は以下のようにまとめられる。(1)観測的研究からこれまでで最も若い系で惑星形成の兆候を見られることを示した。(2)数値シミュレーションを用いた研究により、起源が謎である天体について、その形成を説明できるモデルを初めて提唱した。また、独自に開発したコードを国内外研究者に提供することで、惑星大気・分子雲・ミニハロー・ブラックホールなど多岐にわたる天体についての研究発展にも貢献した。
本研究成果はこれまでの標準的な惑星形成論を覆すもの、また未解明問題の解明に向けての光明となるものである。(1)の成果は、これまで標準理論で考えられていたよりもかなり早い段階で惑星形成が起こっていることを示すもので、惑星形成論に修正を迫る結果である。(2)の成果は、長生きが可能な少し特異な性質を持つ円盤系では、月のような衛星形成が抑制される可能性があるため、生命居住環境構築可能性に示唆を与える結果である。(地球における月の形成は生命居住環境が形成する上で必須と考えられている。)(1)と(2)の成果は共に、惑星形成論だけでなく生命誕生の謎を迫る上でも示唆に富んだ重要な成果である。
すべて 2022 2021 2020 2019 その他
すべて 国際共同研究 (7件) 雑誌論文 (12件) (うち国際共著 10件、 査読あり 12件、 オープンアクセス 7件) 学会発表 (14件) (うち国際学会 7件、 招待講演 4件)
The Astrophysical Journal
巻: 927 号: 2 ページ: 237-237
10.3847/1538-4357/ac4751
Monthly Notices of the Royal Astronomical Society
巻: 512 号: 1 ページ: 855-860
10.1093/mnras/stac556
巻: 927 号: 1 ページ: 54-54
10.3847/1538-4357/ac4cae
巻: 915 号: 2 ページ: 90-90
10.3847/1538-4357/ac0137
巻: 907 号: 2 ページ: 80-80
10.3847/1538-4357/abd0fa
巻: 910 号: 1 ページ: 11-11
10.3847/1538-4357/abddb1
巻: 910 号: 1 ページ: 51-51
10.3847/1538-4357/abe2af
巻: 895 号: 1 ページ: L2-L2
10.3847/2041-8213/ab8eaa
Monthly Notices of the Royal Astronomical Society: Letters
巻: 498 号: 1 ページ: L87-L92
10.1093/mnrasl/slaa130
Astronomy & Astrophysics
巻: 644 ページ: A50-A50
10.1051/0004-6361/202039294
巻: 905 号: 2 ページ: 151-151
10.3847/1538-4357/abc5b4
巻: 883 号: 2 ページ: 127-127
10.3847/1538-4357/ab380a