研究課題/領域番号 |
19K23564
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0304:建築学およびその関連分野
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研究機関 | 独立行政法人国立文化財機構東京文化財研究所 |
研究代表者 |
金井 健 独立行政法人国立文化財機構東京文化財研究所, 文化遺産国際協力センター, 室長 (90359448)
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研究期間 (年度) |
2019-08-30 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2019年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 文化財保護行政 / 建造物保存 / 近現代建築 / 保存修理 / 保存活用計画 / 保存再生 / 建築史・建築論 / 文化遺産・文化財政策 / 保存・再生 / 文化財・文化遺産 / 文化財政策 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、近現代建造物の保護が現代社会の普遍的な営為として受容されうる諸条件を解明することを目的に、 1)近現代建造物の改修工事とその方針等に関する資料の収集・整理、 2)近現代建造物の価値を持続・向上する観点からの保存の考え方の見直し、 3)近現代建造物の維持に必要な具体的な修理方法と従来の文化財修理の方法との整合性の検証、 を行う。 また、近現代建造物を糸口にした社会と文化財の関係性の再考を通じて、日本が成長社会から成熟社会に移行する中で文化財保存が目指すべき新たな方向性を提案する。
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研究成果の概要 |
本研究は、近現代建造物の文化財としての保護が現代社会の普遍的な営為として受容される諸条件を解明することを目的とした。はじめに、行政制度上の報告や施策、言説等から考察を行い、文化財の存立の根拠となる価値評価と保存の実践である文化財建造物の修理の間に業態的な分断があり、新しい文化財類型である近現代建造物では価値評価の方向と保存修理の方法が必ずしも整合していないことを示した。つぎに、近年のリノベーションの事例に注目して現在の一般的な建築行為における近現代建造物の価値の捉え方や改変の考え方を考察し、改修設計者に共通する近現代建造物に特有の価値評価や、その保存のための方法論が存在することを明らかにした。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
文化財建造物の保護は、絶え間ない保存の実践によって成り立っており、学術的な観点からは、保存のための技術や方法が保存科学、保存された建造物が建築史学等の研究対象とされることは多いものの、文化財保護のあり方そのものに焦点が当てられることは少ない。一方で、戦後の文化財建造物の対象の拡大と多様化に対して、保存の実践が追いついていない状況が常態化していることも確かである。本研究は近現代建造物に焦点を当て、学術的な観点から文化財建造物の保護の現状を整理・分析し、文化財の評価と保存の実践の間に生じる齟齬の原因を把握したものであり、今後の文化財保護の展開の方向性を展望するうえで社会的に意義があるものと考える。
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