研究課題/領域番号 |
19K23568
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0401:材料工学、化学工学およびその関連分野
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研究機関 | 埼玉大学 |
研究代表者 |
山田 典靖 埼玉大学, 理工学研究科, 助教 (60850881)
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研究期間 (年度) |
2019-08-30 – 2021-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2020年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2019年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | PVDF / 溶媒キャスト法 / 蒸気圧降下 / 圧電高分子フィルム / 超高濃度PVDF溶液 / ポリフッ化ビニリデン |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は,簡便で高性能な圧電高分子素子開発に向けて,超高濃度ポリフッ化ビニリデン(PVDF)溶液の技術応用を目指すものである.一般的に,高分子溶液は低濃度であるほど粘度や成膜性の観点から扱いやすくなる.しかし,本研究では,高分子溶液の濃度が上昇した際の蒸気圧降下現象に着目し,溶液の超高濃度化によってPVDFを圧電フィルム化させる手法の確立を試みる.
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研究成果の概要 |
超高濃度PVDF溶液から圧電フィルム作製を試みた結果,2つの知見が得られた.1つ目は,溶液濃度はフィルム内の圧電結晶量に正の影響を与えているということである.従来よりも低分子量のPVDF粉末を用いて,安定的に作製可能な溶液濃度を拡大し,自作のラマン分光測定システムを用いて低濃度溶液と超高濃度溶液の結晶量の比較を行ったところ,超高濃度溶液は低濃度溶液に比べて最大26.8倍の結晶量を有するフィルムを示した. 2つ目は,一定の濃度以上のPVDF溶液は無極性結晶を生成するということである.このことから超高濃度PVDF溶液の結晶化は低濃度領域のものとはまったく異なるメカニズムである可能性を示唆した.
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究は,PVDFの相転移メカニズムと高分子溶液の蒸気圧降下現象に着目し,従来の手法よりも高濃度の溶液から圧電高分子フィルムを作り出すことによって圧電性結晶量の向上を試みた.その結果から示唆されたこととして,無極性結晶であるPVDF粉末を溶媒に溶かし,その溶液の濃度が低ければ圧電性結晶が,非常に高ければまた無極性結晶が生成されるという現象はPVDFの結晶化制御としては新しい着眼点であり,結晶構造が変化する条件の転換点がどのようなメカニズムによって決定されているかは結晶多形であるPVDFの理解を深める上で学術的に興味深い問いであると考える.
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