研究課題/領域番号 |
19K23572
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0401:材料工学、化学工学およびその関連分野
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
藤澤 一範 信州大学, 先鋭領域融合研究群先鋭材料研究所, 助教(特定雇用) (00724634)
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研究期間 (年度) |
2019-08-30 – 2021-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2020年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2019年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 炭素化 / 黒鉛化 / 活性炭 / 高温熱処理 / 炭素材料 / 電子顕微鏡 |
研究開始時の研究の概要 |
炭素化・黒鉛化過程の再訪:有機物の熱処理によって炭素材料・黒鉛材料を調製することは良く知られている。しかし炭素構造の形成過程は複雑であり“有機物の骨格から炭素材料の構造の予測”また“望まれる炭素材料の構造から有機物の選択”は未だ困難である。そこでこれまでバルク体と捉えられていた有機物前駆体に対してナノサイズのプローブを用い、かつ熱処理過程における同一箇所の追跡分析により複雑な炭素化・黒鉛化過程における構造変化を捉える新たなアプローチを提案する。そしてあふれる廃棄物・材料の再利用促進への知見応用を期待し、有機物―炭素・黒鉛体における構造関連性の解明に挑戦する。
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研究成果の概要 |
有機材料の炭化・黒鉛化プロセスについて,難黒鉛化炭素前駆体であるセルロースを用いて再検討した.グラファイト製のグリッド上にゲル状のセルロースを滴下し,3000℃までの高温で熱処理を行った.透過型電子顕微鏡を用い300℃毎に同一箇所を観察した結果,セルロースは始め炭素殻でできた泡状のセル構造を形成し,熱処理温度の上昇に伴ってこのセルは直径が大きくなり,殻部は厚みを増していった.更なる熱処理温度の上昇に伴ってセルの数は減少し,予想に反してセルロースは高温で結晶性の高い,グラフェン様の平面構造を形成した.これよりセルおよび炭素殻の空間的配置が最終的な炭素・黒鉛の構造を決定していることがわかった.
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
炭素材料は日常生活で広く利用されているが,有機物の熱処理によって生じる炭素の構造は予測ができない.そこで構造や組成が均質でない有機物の炭素化過程について構造の定点観察による解明を試みた.セルロースに由来する炭素では,加熱に伴って生じる炭素殻を持つ泡様のセルの配置が炭素・黒鉛の構造を決定していることが分かった.そしてセルが平面に並んでいる状態では,従来の活性炭様の構造でなくグラフェン様の結晶性の高い黒鉛が生じることがわかった.この炭素化・黒鉛化過程に関わる新知見を用いることにより,他の有機物からの炭素調製における構造予測または制御が可能になると考えられ,有機残渣の有効利用に貢献する.
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