研究課題/領域番号 |
19K23574
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0401:材料工学、化学工学およびその関連分野
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
平出 翔太郎 京都大学, 工学研究科, 助教 (60853207)
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研究期間 (年度) |
2019-08-30 – 2021-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2020年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2019年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 吸着等温線 / 高精度測定 / 真空 / リーク |
研究開始時の研究の概要 |
省エネルギーな分離技術として吸着や膜分離が関心を集めているが,その多孔性材料の評価に欠かせないのが吸着等温線測定である。60年代に初めて商用化された吸着測定装置であるが,現在では技術の進歩により,10の-8乗相対圧からの測定を可能とする高性能モデルも登場している。吸着測定装置の普及により,吸着等温線測定の再現性は飛躍的に向上したが,今なお,とりわけ低圧領域において,吸着等温線を精度良く測定することには難しさが存在する。本研究は,測定の外乱となっている系内の圧力上昇の原因を明確にし,それらを排除する方法,および影響を理論的に補正する方法を確立することで,吸着分析の精度向上を目標とする。
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研究成果の概要 |
低圧領域での吸着等温線測定の精度に悪影響を及ぼしている系内の圧力上昇について調査した。吸着測定装置と四重極型質量分析計を組み合わせた装置を開発し,ブランクセルにおける圧力上昇の原因として窒素および酸素が支配的であり,二酸化炭素および水も少量含まれることを明らかとした。一方でY型ゼオライトを封入した条件では,圧力上昇はほぼ窒素のみによって引き起こされていた。つまり,吸着測定時の圧力上昇の要因は外気のリークが支配的であることが分かった。そこで,吸着測定時の経時データからリークガス分圧を解析することで真の平衡圧を求めるプログラムを作成し,低圧領域の吸着等温線が合理的に補正されることを示した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
吸着分子サイズの細孔径を有する多孔体は,吸着分子と強く相互作用するために,低圧環境においても吸着が進行する。裏を返せば,低圧領域における吸着挙動にこそ,その材料の特性が色濃く出るはずであり,本研究で構築した吸着等温線の高精度測定プロトコルによって,より詳細に,かつ再現性よく材料の細孔状態を議論できるようになる。そのため,昨今脚光を浴びている,ターゲットとなる吸着ガスに適した細孔をもつ多孔体を分子レベルで機能設計する研究がより活発となり,吸着や膜分離といった多孔性材料を用いた手法の高効率化,ひいては産業全体におけるエネルギー消費の約半分を占める分離工程の刷新に繋がる成果であると考えている。
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