研究課題/領域番号 |
19K23579
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0401:材料工学、化学工学およびその関連分野
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研究機関 | 横浜市立大学 |
研究代表者 |
鈴木 凌 横浜市立大学, 理学部, 助教 (70846708)
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研究期間 (年度) |
2019-08-30 – 2021-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2020年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2019年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | タンパク質結晶 / 力学的性質 / 転位 / X線回折 / インデンテーション / 圧縮試験 / グルコースイソメラーゼ結晶 / 高品質タンパク質結晶 / X線トポグラフィ / 格子欠陥 / 力学特性 |
研究開始時の研究の概要 |
タンパク質結晶は巨大で複雑なタンパク質分子から構成された結晶性材料であり、分子サイズに伴った巨大な結晶格子を有している。結晶内に最大70%もの多量の水を含むというこれまでの結晶材料にはない特徴がある。そして、結晶水を他の物質と置換できることから、次世代の結晶性多孔質生体材料として注目されている。しかし、もろく壊れやすい弱点があり実用化には至っていない。弱点克服が望まれる一方、結晶欠陥が多く、高品質な結晶を得ることが困難なため、転位の挙動やその運動などの力学的な性質に関する知見は非常に少ない。本研究では高品質化に成功したグルコースイソメラーゼ結晶を用いて、タンパク質結晶の力学特性を明らかにする。
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研究成果の概要 |
タンパク質結晶の応用へ向けた力学的性質に関する基礎的な研究を行った。具体的には、大きく分けて①巨視的な変形試験によるタンパク質結晶の力学的性質の評価と②放射光Ⅹ線トポグラフィによるタンパク質結晶の欠陥観察法の構築および回折理論に基づいた緻密な完全性評価を行った。①では、最大5ミリメートルにも及ぶ巨大な結晶の変形試験により、ヤング率や破壊応力などの見積もりに成功した。②では、X線CCDカメラを使用したデジタルトポグラフ法によって撮影した数百枚の一連の回折像を画像解析により、欠陥像の取得が難しい結晶であっても転位などの結晶欠陥の観察を可能とする方法(Median Image法)の構築に成功した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
学術的意義としては、脆く壊れやすいと定性的な認知で収まっていたタンパク質結晶の力学的性質をヤング率や破壊応力、ひずみ量などの値から定量的な評価まで落とし込めたことにある。また、その変形機構は転位の運動による塑性変形に支配されていることから、本研究で得られた知見を基にその変形の制御を行うことで、高強度化法に期待できる。さらには、海洋問題をはじめとして現在課題となっているプラスチックのような人工高分子の代替素材として、自然由来のタンパク質結晶の工学的な利用は持続可能な社会に重要である。
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