研究課題/領域番号 |
19K23580
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0401:材料工学、化学工学およびその関連分野
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
植木 洸輔 近畿大学, 理工学部, 助教 (10845928)
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研究期間 (年度) |
2019-08-30 – 2021-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2020年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2019年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | バルーン拡張型ステント / Co-Cr-W-Ni合金 / 機械的特性 / 微細組織制御 / 塑性変形挙動 / 析出挙動 / 晶・析出物 / Co-20Cr-15W-10Ni合金 / 電解抽出法 / 熱間鍛造 / 冷間圧延 / 加工性 / 析出物形成 / 元素機能 / 歪み誘起マルテンサイト変態 |
研究開始時の研究の概要 |
心筋梗塞等の循環器系疾患の治療に用いられるバルーン拡張型ステント留置術は、患者の負担が少ない低侵襲性医療の一種である。より低侵襲なステント留置術の実現には、ステントの小径化が必須となる。これは、バルーン拡張型ステント用金属材料であるCo-Cr-W-Ni合金において、低降伏応力を維持したままでの高強度化、高延性化の両立が必要であることを意味する。そこで本研究では、高強度・高延性を両立する金属材料であるTRIP/TWIP鋼の塑性変形挙動に着目し、Co-Cr-W-Ni合金における元素機能という観点から、Mn, Siを添加した次世代バルーン拡張型ステント用Co-Cr合金を開発することを目的とした。
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研究成果の概要 |
ステント留置術の低侵襲化には、ステントの小径化が必須である。本研究では、ステント用金属材料であるCo-20Cr-15W-10Ni合金(mass%, CCWN合金)の高性能化を目的として、MnおよびSiを添加したCCWN合金を開発した。 Mn添加CCWN合金は、既存のCCWN合金と比較して高い延性を示した。さらに、CCWN合金へのMn添加が低降伏応力化に有効であることが示唆された。Si添加によって強度が向上したが、 1mass%以上のSi添加は析出物形成による延性低下を引き起こした。 これらの研究成果より、Mn添加CCWN合金は、次世代小径ステント金属材料の候補として有力であると考えられる。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
Mnを添加することでCCWN合金の積層欠陥エネルギーが上昇し、変形誘起塑性が発現したと考えられ、その結果、優れた機械的特性および加工硬化特性を示したと考えられる。Si添加CCWN合金においては、CCWN合金に関する過去の研究では確認されていない、CoWSi型laves相の形成が確認された。これらの結果は、Co-Cr系合金の析出物形成挙動や積層欠陥エネルギーと変形モードの関係といった観点から、学術的意義のあるものと言える。さらに、Mn添加CCWN合金が優れた機械的特性、加工硬化特性を示したことから、本研究の成果は、次世代小径ステントの開発につながる社会的意義のあるものと考えられる。
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