研究課題/領域番号 |
19K23588
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0402:ナノマイクロ科学、応用物理物性、応用物理工学およびその関連分野
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
山野井 一人 慶應義塾大学, 理工学部(矢上), 助教 (20847777)
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研究期間 (年度) |
2019-08-30 – 2021-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2020年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2019年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | スピントロニクス / スピンダイナミクス / ジスプロシウム / スピン注入 / 反強磁性体 / 反強磁性 / 磁化相転移 / スピン流 / スピン渦度結合 / 表面弾性波 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、近年、発見されたスピン角運動量保存則に基づき巨視的な回転運動からスピン流を生み出すスピン渦度結合と次世代スピントロニクス材料の有力候補である反強磁性体を組み合わせることにより、これまでに実現が困難だった反強磁性体からの非熱的スピン流生成を世界に先駆けて実験実証し、反強磁性体のスピントロニクス応用におけるブレークスルー技術の創成を目指す。
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研究成果の概要 |
本研究では、巨視的な回転運動と電子スピンの結合であるスピン渦度結合を反強磁性を示すDyに適用することで、Dyを用いた非熱的スピン流生成技術の実現を目指した。 まずはDyの薄膜化を目指して、スパッタ成膜の最適条件を探索し、高品質なDy薄膜を実現した。更にDy薄膜を用いたスピン注入実験から、反強磁性状態にてスピンポンピング効率の強い抑制効果の観測に成功した。上述の実験に成功した一方で、スピン渦度結合の実験では、Dy薄膜を伝搬した表面弾性波の信号強度が著しく低減してしまった。これを解決するために、Dyの更なる薄膜化を目指した。今後は薄膜化したDyを用いたスピン渦度結合の観測を試みる。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
反強磁性体はデバイス応用上、多くの優れた特性を有しており、次世代デバイスの要素材料として注目されている。本研究では目標としていたスピン渦度結合を用いた反強磁性スピン注入の観測はできなかったが、常磁性、強磁性、反強磁性状態が温度によって発現するジスプロシウム(Dy)薄膜の成膜、更にスピンポンピング効果によるスピン注入に成功した。その結果、他の磁気状態に比べて反強磁性-Dyでは強いスピンポンピング効果の抑制が観測され、反強磁性-Dyにて長距離なスピン伝搬が実現されている可能性を示した。今回得られた成果は、Dy薄膜が反強磁性スピントロニクスデバイスの材料として有用であることを示すことができた。
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