研究課題/領域番号 |
19K23608
|
研究種目 |
研究活動スタート支援
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0403:人間医工学およびその関連分野
|
研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
池田 貴裕 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 研究協力員 (60849511)
|
研究期間 (年度) |
2019-08-30 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2019年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
|
キーワード | 膵島/脂肪由来幹細胞複合シート / 膵島 / 脂肪由来幹細胞 / 1型糖尿病 / 移植 / 脂肪由来幹細胞シート / 皮下移植 / 肝表面移植 / 免疫応答能 |
研究開始時の研究の概要 |
膵島移植の成績向上のため、細胞シート工学を用いた皮下移植が研究されてきた。我々は、糖尿病ラットへの膵島/間葉系幹細胞(MSC)複合シート皮下移植での耐糖能改善、MSCの中でも脂肪由来幹細胞(ADSC)の有用性を報告した。一方膵島単体シートでは、マウスで皮下より肝表面移植の方が血糖正常化に優れていたと報告された。肝表面移植は臨床的には侵襲が大きい。膵島/ADSC複合シートであれば、血管新生誘導/ 膵島細胞保護効果により皮下移植でも肝表面移植と同等な成績が期待できる。本研究では膵島/ADSC複合シート移植における、皮下と肝表面の移植効果の差異の検討、ADSCによる免疫応答緩和の有無を明らかにする。
|
研究実績の概要 |
膵島移植の成績向上のため、細胞シート工学を用いた皮下移植が研究されてきた。我々は、糖尿病ラットへの膵島/間葉系幹細胞(MSC)複合シート皮下移植での耐糖能改善、MSCの中でも脂肪由来幹細胞(ADSC)の有用性を報告した。一方膵島単体シートでは、マウスで皮下より肝表面移植の方が血糖正常化に優れていたと報告された。しかし、ヒトへの応用を考えた場合、肝表面移植は臨床的には侵襲が大きいと考えられる。膵島/ADSC複合シートであれば、血管新生誘導/ 膵島細胞保護効果により皮下移植でも肝表面移植と同等な成績が期待できると考えた。 糖尿病モデルマウスの作製、共培養シート作製手技、ラット膵島の分離手技の安定化を図っていた。膵臓の消化に用いるコラゲナーゼを注入するため、ラットの胆管へカニュレーションする技術が必要であり、手技獲得に時間を要した。手技が安定したところで膵島分離を行い、動物実験施設でラット膵臓へのコラゲナーゼ(リベラーゼTL)注入、膵全摘などを行い、当科実験室で振盪、ろ過、濃度勾配液を加えての遠心処理等を行って膵島の分離を行った。また、ラットADSCについては専門業者から購入したものを使用した。ADSCが推奨培地で増殖しない問題があり難渋したため、シート作製に移行するまでに時間を要した。培地の変更により、ADSCの増殖を確認でき、シート作製にとりかかった。膵島分離の5日前にADSCを播種して増殖させコンフルにさせた上で、膵島分離を行い、ラット膵島を播種して膵島/ADSCシートの作製を行った。昨年度、実際に膵島/ADSCシートを糖尿病マウスに移植しているが、うまく生着していない。 今年度も引き続き移植実験を継続し、血糖の変化について検討している。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
当初2020年度までにすべての研究を終える予定で計画していた。現状ではシート作製手技まで獲得し、実際に糖尿病マウスの移植を開始している。遅れている原因としては、新型コロナウイルス拡大に伴う実験に関わる試薬納入の遅れで、スムーズに実験が進まなかったこと、膵島/ADSCシートの移植に関してうまく生着しないことが考えられる。
|
今後の研究の推進方策 |
膵島/ADSCシートを作成する手技を獲得したため、実際に糖尿病マウスへの皮下移植を開始した。スムーズに実験が進まず、今後の課題としては移植マウスの数を増やしていくことである。コントロール群(n=10)、皮下移植群(n=10)、肝表面移植群(n=10)とする。これまでの検討と違うところは、非免疫抑制マウスを用いることで、ADSCのもつ免疫回避能を検討する。皮下移植群にはセボフルレン2.5%経気道投与による全身麻酔下で腹部皮下に皮弁を形成し、膵島/ADSC複合シートを移植する。肝表面移植群にはセボフルレン2.5%経気道投与による全身麻酔下で開腹、肝臓を露出する。肝左葉外側区を滅菌綿棒で10mm2程擦過し、肝被膜を除去して膵島/ADSC複合シートを移植する。移植後、7日目、14日目、28日目にセボフルレン2.5%経気道投与による全身麻酔下で尾の静脈より採血を行い、血糖、血清インスリン、血清Cペプチドについて各群で比較する。ELISAキットで測定でき、移植膵島由来のインスリンかどうか判別できる。28日目の採血の際には、下大静脈採血により安楽死させ、移植片を摘出し10%ホルマリンで固定する。作成した標本について免疫染色(CD3,11b,45)等で観察し、各群間の免疫応答について比較する。
|