研究課題/領域番号 |
19K23629
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0501:物理化学、機能物性化学、有機化学、高分子、有機材料、生体分子化学およびその関連分野
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
清水 大貴 京都大学, 工学研究科, 助教 (10845019)
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研究期間 (年度) |
2019-08-30 – 2021-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2020年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2019年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | ラジカル / 芳香族性 / 反芳香族性 / 電子スピン / 安定ラジカル / スピン |
研究開始時の研究の概要 |
[4n]π共役系は縮退したフロンティア軌道を持つため単純なHund則から考えれば本質的に三重項ジラジカルであるが、実際には基底一重項状態となり、非芳香族または反芳香族性を示すことが知られている。これまでに様々な[4n]π反芳香族化合物が合成されてきたが、その三重項状態は単寿命の励起状態もしくは遷移状態化学種としてのみ観測されてきた。本研究ではそのような[4n]π電子系に対して電子スピンによる摂動を加えることで、基底状態での三重項ジラジカル性を誘起する新しい分子設計指針を提唱・実証する。[4n]π電子系のスピン状態制御に基づいた新たな化学を開拓する。
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研究成果の概要 |
本研究では芳香族性・反芳香族性と電子スピンとの関係に着目し、反芳香族-ラジカルハイブリッド化合物の合成・物性解明を目的に研究を行ってきた。本研究を通じて、分子内に芳香族性・反芳香族の複数の共役サーキットを有する新しい安定ラジカルであるcyclohepta[3,2,1-jk:4,5,6-j’k’]difluoren-7-yl誘導体を発見した。この化合物は非交互炭化水素であるシクロペンタジエニル、トロポン、アズレンといった部分構造からなり、5,6,7員環が高度に縮環した興味深い構造を有しており、複数の安定な酸化還元状態を取ることから、誘導化やさらなる展開が期待される。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
ベンゼン環や黒鉛で見られるような六角形構造ではなく、五角形や七角形の構造を持つ炭化水素化合物は磁性の発現に欠かせないスピン(ラジカル性)や大きな双極子など興味深い性質を示すことが知られており、精力的な研究が進められている。単純な五員環や七員環化合物についてはかなり理解が進んでいるが、それらが複雑に縮環した場合には複数の共役系のとり方が考えられ、実際の電子がどのような共役サーキットを選択するのかは未解明の部分も多い。本研究ではそのような5,6,7員環が複雑に縮環した構造を持つ化合物の合成に成功し、実際にその構造と共役サーキットとの関連や物性を明らかにすることができた。
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