研究課題
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酸化物イオン伝導体の研究は数多いが、研究対象は特定の結晶構造に限られていた。本課題では、六方ペロブスカイト関連酸化物の酸化物イオン伝導体を探索し、① 高い伝導度を持つ新材料を発見し、② 中性子・放射光X線回折と最大エントロピー法を駆使して高伝導度の起源を明らかにする。対象となる候補物質は数百種類にのぼるが、理論的手法を駆使して候補物質を効率的に選定・発見を目指す。
六方ペロブスカイト関連酸化物Ba7Nb4MoO20に過剰酸素を導入した組成が中低温で高い酸化物イオン伝導度を示すことを見出した。さらに、中性子回折測定データへの構造解析により、酸化物イオンがBaの周りを二次元的に拡散することを示した。また、六方ペロブスカイト関連酸化物Ba5Er2Al2ZrO13が中低温で高いプロトン伝導度を示すことを発見した。Ba5Er2Al2ZrO13は、化学置換なしで高い伝導度を示し、この原因が酸素欠損層に由来することを明らかにした。本成果は、米国の化学雑誌J. Am. Chem. Soc.に掲載され、特許も出願中である。
酸化物イオン伝導体・プロトン伝導体の研究はともに特定の結晶構造に属する物質の研究が大多数であり、本研究で新しいイオン伝導体ファミリーとして六方ペロブスカイト関連酸化物を発見して論文と特許にまとめたことは学術的および社会的に意義深い.特に、本研究で発見した六方ペロブスカイト関連プロトン伝導体は、結晶構造中に元々存在する酸素欠損層を生かして化学置換なしで高い伝導度を示すという画期的なものであり、エネルギー問題と環境問題を解決する一助になると期待される.
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 2件、 査読あり 3件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件) 産業財産権 (1件) (うち外国 1件)
Optical Materials
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