研究課題/領域番号 |
19K23648
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0502:無機・錯体化学、分析化学、無機材料化学、エネルギー関連化学およびその関連分野
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研究機関 | 東京大学 (2020) 東京工業大学 (2019) |
研究代表者 |
荻原 直希 東京大学, 大学院総合文化研究科, 助教 (70848267)
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研究期間 (年度) |
2019-08-30 – 2021-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2020年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2019年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 多孔性金属錯体 / ナノ結晶 / 触媒 / ポリオキソメタレート / イオン伝導 / 金属ナノ粒子 / アンモニア |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では多孔性金属錯体(MOF)に吸着されたアンモニア分子が、バルク状態とは異なる化学状態を有することに着目し、その特異なアンモニア分子の化学反応性を理解することを目指す。そのために、高い触媒反応性を有する金属ナノ粒子に着目し、金属ナノ粒子とMOFを複合化させた研究対象となる新たな物質系を開拓する。 さらに、MOFの高い設計性を活かし、その細孔サイズや細孔環境を適切に設計することにより、MOF細孔中に束縛されたアンモニアの化学状態の制御、さらにはアンモニアの反応活性の制御を試みる。
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研究成果の概要 |
多孔性金属錯体(MOF)に吸着された極性分子の化学反応性を理解するために、MOF中にPtナノ触媒を埋め込んだMOF複合体を合成した。得られたMOF複合体を用いて、水性ガスシフト反応を試みたところ、既存の担持Pt触媒を上回る高転化率を示し、MOF中の水分子はバルク水より高い反応性を有することが明らかとなった。さらに、MOFを構成する配位子を系統的に変化させたMOF複合体を合成し反応活性を評価したところ、配位子の種類に依存した反応性を示すことがわかった。このようにMOFが持つ高い設計性を生かし、細孔の化学環境を合理的にデザインすれば、水分子の化学反応性を系統的に制御可能であることを見出した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本成果はこれまで未開拓であったMOFに吸着された水の反応性についての知見を与えるものであり、水を活性化する場としてのMOFの有用性を世界に先駆けて見出した点で学術的意義を有すると考えられる。本課題で解明された水の吸着状態と反応性との相関は、水をはじめとする種々の分子の反応場を構築する上で重要な指針を与えると思われる。今後、水だけでなくアンモニアや有機分子等の分子変換に、得られた知見を適用すれば革新的触媒の創出に繋がると期待される。このように本成果は小分子活性という基礎学問の発展に寄与するだけでなく、既存の触媒を凌駕する高活性触媒の開発にも貢献するため、応用面でも波及効果をもたらすと考えられる。
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