研究課題/領域番号 |
19K23681
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0603:森林圏科学、水圏応用科学およびその関連分野
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
厚井 高志 北海道大学, 広域複合災害研究センター, 准教授 (40845294)
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研究期間 (年度) |
2019-08-30 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2019年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 流域貯留土砂 / 山地森林流域 / 航空写真 / SfM / 土砂移動 / UAV / 降雨出水 / 1973年北海道小谷石災害 / 土砂滞留 / 土砂の二次移動 / 樹木群落情報 / 降雨強度 / 降雨継続時間 / 流域土砂動態 / 一斉同齢林 / 土砂流出 / 中長期時間スケール / 流域スケール / 二次移動土砂 / 植生侵入 / 経年変化 / 降雨出水規模 / 多視点ステレオ写真測量 / 土砂災害 / 三次元地形モデル |
研究開始時の研究の概要 |
流域内で崩壊に伴う土砂生産があると土砂災害という形で短期的かつ局所的に土砂移動が顕在化する。一方,生産土砂は一度にすべて流出するわけではなく,一部は崩壊斜面下部や河道内に一時的に貯留され,その後の大規模出水時に土石流化し土砂災害を再び助長することが懸念される。本研究では,過去に発生した大規模土砂生産イベント後を対象として,航空写真のアーカイブデータから多時期の三次元地形モデルを作成し,その差分解析から得られる貯留土砂の移動実態を定量的に明らかにすることを試みる。流域貯留土砂の把握手法を確立し,その(二次)移動特性を明らかにすることで,今後の効率的・効果的な土砂災害対策に繋がることが期待できる。
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研究成果の概要 |
崩壊発生は流域内に大量の不安定土砂が供給するが,供給された土砂のその後の移動実態は研究事例が少なく明らかではない。本研究は,過去に大規模な土砂生産イベントがあった流域におけるこうした土砂の移動実態を明らかにした。調査地は1973年に豪雨により複数の崩壊や土石流が発生した北海道知内町小谷石中ノ沢流域である。時系列の航空写真判読および現地調査の結果,1973年イベント後,流域上流部から中流部にかけては小規模な土砂移動が継続していたこと,下流部では近年まで長期間にわたって土砂移動がほとんど生じていなかった一方,2013年の降雨イベント時に流域出口まで到達する土砂移動が生じたことが明らかになった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
気候変動の影響により豪雨頻度が増加し,今後もこの傾向が継続することが懸念されている。わが国はその地形・地質的特徴から過去に大規模な土砂生産があった流域が多く存在するにもかかわらず,こうした生産土砂がその後どのような挙動を示すのかといった知見はほとんどなかった。本研究は,流域内に存在する貯留土砂が降雨出水に応じてどのような挙動を示すかの想定に寄与することが期待でき,防災対策を検討する上で重要な知見を提示できた。本研究で対象とした流域のように,土砂生産から数十年経過後に大規模な土砂流出が引き起こされていたことは災害直後の施設整備やその後のモニタリングの重要性を改めて示している。
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