研究課題/領域番号 |
19K23685
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0603:森林圏科学、水圏応用科学およびその関連分野
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研究機関 | 国立研究開発法人海洋研究開発機構 |
研究代表者 |
森 郁晃 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 超先鋭研究開発部門(高知コア研究所), 特別研究員(PD) (60849537)
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研究期間 (年度) |
2019-08-30 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2019年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 貧酸素水塊 / 化学合成独立栄養細菌 / 堆積物 / 大村湾 / 閉鎖性内湾 |
研究開始時の研究の概要 |
「悪天候時の強風等を原因とした水塊攪拌による一時的な酸素供給」や「貧酸素水塊の解消を目的とした大規模なエアレーション実験」は,貧酸素水塊の規模縮小に貢献するが,根本的な貧酸素水塊の解消や沿岸域の富栄養化の改善には貢献しない。その理由は,(仮説) 貧酸素海域への酸素供給によって,海底堆積物表層で活発化した化学合成独立栄養細菌が,好気呼吸によって水塊の再貧酸素化を促し,炭酸固定による有機化合物合成を行って,海域の有機物量の減少を妨げるためである。本研究では,貧酸素海域への酸素供給がもたらす,有機化合物合成速度,細菌群集の数,種類,呼吸代謝等の変化を解明し,上記の仮説を解明する。
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研究成果の概要 |
貧酸素海域への一時的な酸素供給が海底堆積物表層の微生物群集の構造および活性に与える影響評価を目的として、長崎県大村湾で堆積物の培養実験を実施した。堆積物を好気的に培養した際の酸素消費過程は、微生物の好気呼吸による影響が大きく、特に直上水が無酸素化した堆積物コアでは全酸素消費の約75%を占めた。また、硫黄酸化機能を有する化学合成独立栄養細菌の著しい増殖が観測された。これらの結果から貧酸素海域への一時的な酸素供給は、化学合成独立栄養細菌の好気呼吸に由来する高い酸素消費活性を促し、海域の再貧酸素化へ寄与する可能性が示唆された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究で明らかになった貧酸素海域への一時的な酸素供給時における堆積物酸素消費速度および微生物群集構造の変化は、沿岸域で頻発する貧酸素水塊が改善されない原因の一部を明らかにする成果である。今後、これらのプロセスを海洋生態系モデルに取り入れていくことにより、将来の地球環境変動に対する沿岸生態系の応答について、予測精度を向上させることが期待できる。
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