研究課題/領域番号 |
19K23689
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0603:森林圏科学、水圏応用科学およびその関連分野
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研究機関 | 創価大学 |
研究代表者 |
平原 南萌 創価大学, 理工学部, 研究員 (80845404)
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研究期間 (年度) |
2019-08-30 – 2021-03-31
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研究課題ステータス |
中途終了 (2020年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2019年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 遊離アミノ酸 / 脂質 / 蓄積 / 適応 / 生存戦略 / 内湾性カイアシ類 / タンパク質 / 生合成 / 飢餓耐性 / エネルギー蓄積 |
研究開始時の研究の概要 |
内湾域は環境変動が激しく、絶えず生物の移入・消失による生態系の構造変化や生物生産の変動が起きている。内湾の生物多様性は、沿岸域や外洋域と比較して圧倒的に低く、内湾生態系において再生産を行って優占する生物種は限られている。つまり、これまで沿岸性種とひとくくりに考えられてきた内湾性カイアシ類は、変動する餌料環境に対して独自の生理学的応答を持つことが必至であると考えられ、本申請研究ではアミノ酸の利用について着目して内湾性カイアシ類の生理生態学的生存戦略を解明する。
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研究実績の概要 |
本研究では、相模湾真鶴港内湾におけるカイアシ類の出現状況及び環境要因を周年で調査し、冬から初夏にかけて優占するAcartia steueriにくわえ、晩夏から初冬にかけて優占するAcartia japonicaに対象を絞り、培養実験を実施した。 植物プランクトンを添加した高濃度餌料環境下に10日以上曝した場合、A .steueriは体内に透明な油滴状の物質を形成する様子が観察され、高濃度餌料条件下におけるA. steueriの脂質量及び遊離アミノ酸量は、現場環境及び飢餓条件下におけるA. steueriと比較して有意に高い値を示した。一方、A. japonicaの場合は、高濃度餌料条件下に曝しても体内に油滴状の物質は観察されず、蓄積は見られなかった。 飽食状態におけるA. steueriとA. japonicaのアミノ酸の代謝フローを構築するために、10日間高濃度餌料条件下に曝したカイアシ類メス成体、卵、糞のアミノ酸量およびアミノ酸の窒素同位体を測定した。A. steueriは、代謝・卵・糞としての体外へのアウトプット量を差し引くと体内へのアミノ酸の蓄積量の推定値は、0.18nmol day-1 body-1であったのに対し、A. japonicaは、1.48 nmol day-1 body-1がアミノ酸の消費量として推定された。 相模湾真鶴港内湾において、A. steueriが優占する冬から初夏においては、A. japonicaが優占する晩夏から初冬と比較して植物プランクトン量など餌料環境の変動が極めて激しいことが知られている。A. steueriはこのような激しい餌料環境への適応の術として、代謝に速やかに用いることが可能なアミノ酸の蓄積・利用を効率よく行い、極めて高い個体数を維持しているものと示唆された。
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