研究課題/領域番号 |
19K23691
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0603:森林圏科学、水圏応用科学およびその関連分野
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研究機関 | 独立行政法人国立科学博物館 |
研究代表者 |
畑 晴陵 独立行政法人国立科学博物館, 分子生物多様性研究資料センター, 特定非常勤研究員 (90852666)
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研究期間 (年度) |
2019-08-30 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
中途終了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2019年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | カタボシイワシ / Sardinella ventura / ギンリンサッパ / Sardinella albella / ナンカイサッパ / Sardinella gibbosa / Clupea immaculata / Sardinella jussieui / Sardinella dayi / Sardinella alcyone / シオサイイワシ / ニシン目魚類 / 分類学 |
研究開始時の研究の概要 |
ニシン科サッパ属魚類の形態観察用標本・分子解析用組織切片を熱帯アジアを中心とした世界各地で採集すると同時に,各種の生態・資源学的情報を蓄積する.世界各地の研究機関を来訪し,収蔵標本の観察をおこなう.見いだされた各種に適用すべき学名をタイプ標本や原記載を調査して決定する.各種の簡便な識別方法と特徴や分布域を記したモノグラフを出版する. 分子解析を行い,本属魚類の系統関係を推定し,進化の過程を解明する.正確な同定に基づく漁業資源予測を行う.
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研究実績の概要 |
ニシン目ニシン科サッパ属Sardinellaの分類学的研究が推進された.2022年度においては,近年,日本近海において分布域の急速な拡大が確認されている本属魚類カタボシイワシSardinella auritaの千葉県近海における分布を確認・報告し,本種の分布の東限を更新した.本種に関しては本研究期間を通じて出現状況や得られた標本の観察を行った.東京大学総合研究博物館や国立科学博物館などの国内複数機関に所蔵される19世紀末から21世紀の長期にわたって採集された魚類標本コレクションを観察した結果,カタボシイワシが20世紀以前には日本近海には全く分布しておらず,その出現は21世紀以降に生じたものであることが明らかになった.また,幅広い地域において様々な年代に採集されたカタボシイワシの標本を精査する過程で,本種は,極めて短期間に形態が変化していることが示されつつあり,この形態変化に,水温や個体群密度,食性などが関連していることが示唆される.また,本研究期間を通じて,カタボシイワシを含めた日本のサッパ属魚類相が明らかなものとなり,国内に7種が分布すると同時に,日本におけるS. sindensisなどの記録は誤同定に基づくものであり,日本に分布しないことも確認された.また,本研究において沖縄島産標本に基づき日本における分布が初めて確認されたギンリンサッパSardinella albellaは,日本国内では絶滅した,或いは個体数が極めて少なくなっていることが示唆された.さらに,モーリシャス産の本属の1新種Sardinella venturaを記載した.また,本研究を通じ,サッパ属以外にも,カタクチイワシ科やウルメイワシ科などにおいて多数の隠蔽種を確認し,これらのうちの一部においては記載を行い,適用すべき学名を決定した.
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