研究課題/領域番号 |
19K23701
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0605:獣医学、畜産学およびその関連分野
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
江口 遼太 北海道大学, 獣医学研究院, 助教 (10846067)
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研究期間 (年度) |
2019-08-30 – 2021-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2020年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2019年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | アストロサイト / ATP / アデノシン / 抗うつ薬 / FGF2 / うつ病態 / ENTPD / CD73 |
研究開始時の研究の概要 |
うつ病や動物の問題行動は、現代の医学・獣医学において重要な課題であるが、その病態や治療薬の作用メカニズムには不明な点が多く残っている。近年、抗うつ薬の作用には、神経細胞以外の細胞(アストロサイト)が関与すると示唆されている。しかし、抗うつ薬がアストロサイトの機能に与える影響の詳細は明らかになっていない。本研究では、まずマウスに抗うつ薬を投与し、脳のアストロサイトの機能変化を解析する。さらに培養したアストロサイトに抗うつ薬を処置し、その機能変化と作用メカニズムを解析する。これらの研究により、抗うつ薬の詳細な作用メカニズムを解明することができ、うつ病の新たな治療法開発につながる可能性がある。
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研究成果の概要 |
抗うつ薬はうつ病の治療に用いられるが、詳細な作用メカニズムは明らかではない。本研究では、抗うつ薬がアストロサイトの機能に与える影響を検討した。マウスへの抗うつ薬投与により、脳のプリン放出チャネルや代謝酵素の遺伝子発現が変化した。一方、培養アストロサイトへの抗うつ薬処置は代謝酵素の発現や活性を変化させなかった。また、FGF2がMAPK経路の1つであるERKを介してアストロサイトのプリン代謝酵素発現を制御することを明らかにした。 これらの結果から、抗うつ薬はアストロサイトの機能に直接影響を与えず、ニューロンやミクログリアなどの中枢神経系細胞を介してアストロサイト機能を制御する可能性が考えられる。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究で明らかになった、抗うつ薬のによるプリン放出チャネルや代謝酵素の遺伝子発現変化は、抗うつ薬がこれらの機能を変化させることで抗うつ作用を示す可能性を提示するものであり、新たな抗うつ薬の作用メカニズムの解明につながる可能性がある。また、抗うつ薬の作用メカニズムの解明が進むことにより、うつ病態の解明やうつ病の新たな治療法の確立につながると考えられる。
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