研究課題/領域番号 |
19K23708
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0605:獣医学、畜産学およびその関連分野
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研究機関 | 酪農学園大学 |
研究代表者 |
細谷 実里奈 酪農学園大学, 獣医学群, 助教 (80848797)
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研究期間 (年度) |
2019-08-30 – 2021-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2020年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2019年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 卵管 / 不妊症 / 自己免疫疾患 / 卵子pick-up / マウス |
研究開始時の研究の概要 |
我々は、自己免疫疾患モデルマウスの卵管において炎症、線毛上皮形態機能の異常及び卵子pick-up機能の低下がみられることを発見した。本研究では、同疾患モデルマウスに加えて繁殖障害牛も解析対象とし、免疫異常が卵管の形態機能異常を導く分子病態及びその臨床エビデンスを明らかにする。具体的には、疾患群マウスの卵管病理変化と相関する分子を免疫異常と卵管機能障害を繋ぐ実働分子とする。繁殖障害牛においても当該分子の卵管・体液内動態を解析し、臨床検体における卵管異常マーカー分子としての有用性を検証する。本申請課題を遂行し、ヒトの不妊、産業動物の繁殖障害を対象とした新たな病理発生理論や診断法開発の展開へ繋げる。
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研究成果の概要 |
本研究では、自己免疫疾患モデルマウスにみられる卵管pick-up障害の卵管上皮病態と、その原因となる分子病態に迫った。本マウスでは、卵管間膜の線維化による卵巣嚢孔の形態変化に加え、卵管の線毛運動速度の低下および線毛運動方向のバラつきがpick-up障害を招くことが示唆された。さらに本マウスでは、自己免疫疾患の発症に伴って卵管ロートにおけるヘッジホッグ経路関連分子の発現が顕著に低下することを明らかにした。ヘッジホッグ経路関連分子は成体上皮の修復過程においてその恒常性を担うため、本経路の減弱化が卵管上皮病態と関与する可能性が高く、卵管pick-up障害発症の根幹を担う分子病態解明の鍵となる。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
自己免疫疾患を有する女性や免疫系バランスの破綻した動物は高率に不妊症となることが知られるが、免疫異常と雌性生殖器の形態機能異常の関連については不明な点が多い。一方本研究では、免疫異常が卵管上皮の形態機能異常を招くことを明らかにした。現状、哺乳類における卵管pick-up障害の診断法は無く、原因不明の雌性不妊症にpick-up障害が関与する可能性が示唆されている。本研究で明らかとなった卵管形態機能異常およびそれに関連する分子病態は、卵管性不妊症の新たな診療・治療ターゲットの開発に繋がる。
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