研究課題
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ナイーブ型ES細胞は、生殖細胞を含むほぼ全ての細胞種に分化する多能性を持つが、それらの細胞に直接分化することはできない。まずはES細胞から、エピブラスト様細胞など少し発生の進んだ状態を経由し、潜在的であった多能性が活性化されることで、はじめて分化が可能になる。したがって、この過程はその先の多様な細胞種への効率的な分化に重要であるが、マウス以外の動物種では誘導条件があまり確立されていない。本研究では、ナイーブ型であるラットES細胞をモデルとして、エピブラスト様細胞への分化誘導系を確立し、多能性の活性化に関する新たな知見の獲得を目指す。
ラットES細胞をエピブラスト様細胞(EpiLC)に分化誘導する培養条件を確立した。誘導したEpiLCは、in vivoエピブラストと類似した遺伝子発現パターンを示した。EpiLCのさらなる誘導を試みたところ、始原生殖細胞様細胞(PGCLC)への分化を示した。以上より、分化誘導したラットEpiLCは多能性活性化を獲得したことが示された。
ナイーブ型幹細胞が多能性を獲得する機序を理解することは、効率的な細胞分化誘導系を確立する上で重要である。本研究で確立した、ラットES細胞-エピブラスト様細胞-始原細胞への分化誘導系は、ヒトを含む、他の動物種の多能性幹細胞を用いた細胞分化誘導系の確立や改良に役立つことが期待される。
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すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 2件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 2件) 備考 (1件)
Nature Comminications
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https://www.nips.ac.jp/release/2021/02/post_430.html