研究課題/領域番号 |
19K23713
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0701:分子レベルから細胞レベルの生物学およびその関連分野
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
堀越 直樹 筑波大学, 生存ダイナミクス研究センター, 助教 (60732170)
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研究期間 (年度) |
2019-08-30 – 2021-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2020年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2019年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 酵素異常症 / 構造解析 / G6PD / G6PD欠乏症 / NADPH / NADP / structural defects / enzymopathy / PPP / hemolysis / glucose metabolism / G6PD deficiency |
研究開始時の研究の概要 |
グルコース-6-リン酸脱水素酵素(G6PD)欠乏症は、赤血球の崩壊に伴う溶血性貧血などを引き起こす重篤な疾患であり、世界で4億人以上がG6PDの遺伝子変異を有すると推定されている。これまでに、G6PDタンパク質において150以上の患者由来の点変異が報告されているが、それら点変異による酵素活性低下のメカニズムは全く分かっていない。本研究では、G6PD欠乏症の患者由来の変異型G6PDの立体構造を原子レベルで明らかにすることによって、変異による活性低下のメカニズムを解明することを研究目的とする。本研究は、分子標的薬の設計が困難であった変異型G6PDを標的とした創薬研究に大いに貢献するものである。
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研究成果の概要 |
G6PD欠乏症は世界において最も有名な酵素異常症の一つである。G6PD遺伝子において160を超えるミスセンス変異が報告されており、それによりG6PDの活性低下及び溶血性貧血などの重篤な症状が引き起こされる。最も重篤なクラスIに分類される変異の多くは活性部位から離れた領域に局在しており、それらによるG6PDの活性低下機構は全く不明であった。本研究によって、複数のクラスI変異体に共通した構造的特徴及び活性低下のメカニズムが明らかになった。本研究で得られた成果は、これまで有効な治療法が確立されていないG6PD欠乏症に対する創薬化学研究に大きく貢献することが期待される。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
G6PD欠乏症は溶血性貧血、黄疸、ビリルビン脳症、敗血症などを引き起こす疾患である。世界でおよそ4億人がG6PD遺伝子に変異を有しており、変異によってはG6PDの活性に甚大な影響を及ぼす。多くの場合、通常では無症状であるものの、ウイルス感染、薬の投与、特定の食物によって細胞に過剰な酸化ストレスが生じた際に溶血性貧血などの症状を呈する。現在までに、G6PD欠乏症に対する有効な治療薬は存在せず、創薬研究が急務である。本研究課題では、最も重篤なクラスI変異体の立体構造及び活性低下のメカニズムの解明に成功した。今後、本研究で得られた知見に基づいてG6PD欠乏症に対する治療薬の開発が期待される。
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