研究課題/領域番号 |
19K23727
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0701:分子レベルから細胞レベルの生物学およびその関連分野
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
千住 洋介 岡山大学, 異分野基礎科学研究所, 研究准教授 (90536848)
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研究期間 (年度) |
2019-08-30 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2019年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 構造生物学 / 分子進化 / 真核生物起源 / 生体膜 |
研究開始時の研究の概要 |
真核生物に近い系統と考えられている、アスガルドと命名された新規古細菌のメタゲノム解析から、細胞膜の形態変化を制御するタンパク質をコードする遺伝子が発見された。本研究課題では、アスガルド古細菌の新規タンパク質の立体構造を解き、生物物理的手法と細胞生物学を組み合わせてその機能を解明する。さらに、原核生物にも保存された真核生物と同様な細胞機能を見いだしていくことで、生命の起源の一端を解明していく。
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研究実績の概要 |
研究の目的 真核生物が原核生物からどのように生じたのかは今のところよく分かっていない。しかしながら、アスガルド古細菌が真核生物と同様な細胞機能をすでに獲得していたことが分かれば、真核生物と原核生物のミッシングリンクを埋める可能性を秘めている。メタゲノム解析の結果から、真核生物に相同性を持つ細胞形態を制御するタンパク質がアスガルド古細菌でも見出されている。つまり、細胞膜の形態形成機構が、真核生物のみならず原核生物にも共通して保存されていることを示唆する。したがって、アスガルド古細菌に見出された細胞形態を制御するタンパク質の結晶構造を解き、機能を解明することで、細胞膜の形態変化に代表される生命システムがどのように進化してきたかを解明する。
研究実施計画 [Step1] アスガルド古細菌で見出された細胞形態を制御するタンパク質の人工遺伝子合成をした。[Step2] タンパク質の発現・精製をした。[Step3] 緑色蛍光タンパク質 (GFP) を融合したアスガルド古細菌の細胞形態を制御するタンパク質を細胞で発現させ、細胞膜の形態が変化するか調べるとともに、どのような細胞内構造に局在するか明らかにした。[Step4] タンパク質の結晶化条件のスクリーニングを行い、結晶を得た。[Step5] 大型放射光施設SPring-8のビームラインを用いることにより、X線結晶構造解析を試みた。得られたX線回折データから、立体構造を明らかにした。また、リン脂質との結合に必要なアミノ酸残基の保存性を考察した。 上記の一連の研究から、アスガルド古細菌の細胞形態を制御するタンパク質による細胞の形態形成が、進化の過程を通して生命活動の維持に必須の機能であったか解明することが可能となる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
[Step1] アスガルド古細菌で見出された細胞形態を制御するタンパク質の人工遺伝子合成をした。 [Step2] タンパク質の発現・精製をした。 [Step3] 緑色蛍光タンパク質 (GFP) を融合したアスガルド古細菌の細胞形態を制御するタンパク質を細胞で発現させ、細胞膜の形態が変化するか調べるとともに、どのような細胞内構造に局在するか明らかにした。 [Step4] タンパク質の結晶化条件のスクリーニングを行い、結晶を得た。 [Step5] 大型放射光施設SPring-8のビームラインを用いることにより、X線結晶構造解析を試みた。得られたX線回折データから立体構造を明らかにした。また、リン脂質との結合に必要なアミノ酸残基の保存性を考察した。
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今後の研究の推進方策 |
[Step1] 大型放射光施設SPring-8を用いることにより、他のタンパク質のX線結晶構造解析を試みる。得られたX線回折データから立体構造を明らかにする。真核生物の既知の細胞形態を制御するタンパク質の立体構造と比較することで、細胞内機能を予測する。また、リン脂質との結合に必要なアミノ酸残基の保存性を考察する。 [Step2] 精製した古細菌の細胞形態を制御するタンパク質を蛍光標識し、巨大脂質膜リポソーム (GUV: Giant Unilamellar Vesi cle) に作用させることで、脂質膜の形態が変化するか明らかにする。
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