研究課題/領域番号 |
19K23729
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0701:分子レベルから細胞レベルの生物学およびその関連分野
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
永田 麻梨子 九州大学, 薬学研究院, 助教 (60843787)
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研究期間 (年度) |
2019-08-30 – 2021-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2020年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2019年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 染色体複製 / 大腸菌 / ヘリカーゼ / DNA複製開始 / 複製起点 / 二重鎖開裂 / DNA複製 / ゲノム / 高次複合体 / 細菌 |
研究開始時の研究の概要 |
染色体複製における開始複合体による複製ヘリカーゼの定方向性導入という現象は生物共通だと考えられるが、複製起点への複製ヘリカーゼ装着の分子機構は未解明である。大腸菌の染色体複製は、複製開始タンパク質DnaAが複製起点上で高次複合体を形成することでDNA二重鎖が局所的に一本鎖に開裂し、複製ヘリカーゼDnaBが一本鎖DNAに装着されることで開始する。本研究では複製開始複合体により生じた一本鎖DNAへDnaBがどのように装着されるか明らかにするために、試験管内再構成系を用いた生化学的・分子生物学的解析を詳細に進める。これにより一本鎖DNA、DnaAおよびDnaBの動的分子機構を解明し、両方向複製機構を起こす高次複合体動態を理解する。
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研究成果の概要 |
大腸菌の染色体複製機構において、複製起点oriCへの複製ヘリカーゼの装着が複製開始の最終制御点となる。oriC上で形成される複製開始複合体は、左側半分と右側半分で形成される2つの部分複合体に大きく分けられる。代表者は、右側の部分複合体に着目し、複製ヘリカーゼ装着における役割について解析を進めた。試験管内再構成系を用いた研究により、この部分複合体によって、複製ヘリカーゼの装着が促進され この過程でoriCとその周辺のDNA構造の変化も促進されることが示唆された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
細胞性生物にとって、染色体複製は遺伝情報継承のために必須である。染色体複製を開始するためには、複製ヘリカーゼが正しい方向に導入される必要がある。その分子機構には生物種間で多様性がある可能性もあるが、複製ヘリカーゼ装着機構の解明は、種間の違いの意味を理解する事実の発見だけでなく、生物共通の原理および原則の発見にも繋がる。モデル生物として用いる大腸菌は、生物学的知見の蓄積が大きい生物であり、染色体複製開始機構の研究が最も進んでいる生物の一つでもある。さらに病原性細菌種は大腸菌と進化的に近縁なものも多く、本研究から明らかになった分子機構は、新規制御因子を標的とした新規抗菌剤開発にも発展しうる。
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