研究課題/領域番号 |
19K23748
|
研究種目 |
研究活動スタート支援
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0702:細胞レベルから個体レベルの生物学およびその関連分野
|
研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
平田 宏聡 名古屋大学, 医学系研究科, 特任講師 (90414028)
|
研究期間 (年度) |
2019-08-30 – 2021-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2020年度)
|
配分額 *注記 |
2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2019年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
|
キーワード | メカノバイオロジー / 細胞協同現象 / アドヘレンスジャンクション / 葉状仮足 / Rac1 |
研究開始時の研究の概要 |
上皮組織が正常に形成され機能するためには、上皮細胞の運動と増殖の両者が適切に制御される必要がある。本研究では、稠密状態での上皮細胞において運動と増殖が協調的に制御されるメカニズムを解明する。稠密状態においては細胞どうしが物理的に接着していることから、細胞間の力のやり取りに特に着目し、仮足突出による細胞間押力およびアクトミオシン収縮による細胞間引張力が細胞運動と増殖の制御に果たす役割を明らかにする。
|
研究成果の概要 |
上皮組織が正常に形成され機能するには、上皮細胞の運動と増殖の適切な制御が不可欠である。本研究では、単層培養した表皮細胞をモデルとして、運動と増殖の協調制御について調べた。多細胞協同運動は葉状仮足の形成により駆動されるが、葉状仮足のマスターレギュレーターであるRac1が表皮単層中で細胞の運動と増殖の両者を促進することが示された。一方で、細胞間接着であるアドヘレンスジャンクション(AJ)の形成を妨げると細胞運動と細胞周期進行の時間依存的協調が撹乱されたことから、AJは上皮組織を形作るとともに組織内の細胞の運動と増殖を協調させていることが明らかとなった。以上の結果は、iScience誌にて発表した。
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
上皮組織の発生・機能・恒常性にとって上皮細胞の運動と増殖の両者が時空間的に協調して制御されることが必須であるものの、そのしくみは不明であった。本研究は、表皮多細胞系においてRac1が運動と増殖の共通の駆動因子であることを明らかにするとともに、アドヘレンスジャンクションを介した細胞間のコミュニケーションが運動と増殖を協調させるのに必要であることを解明した。これらの結果は、上皮組織という多細胞システムにおける動的挙動制御のメカニズムに重要な知見を与えるとともに、その破綻としてのがんにおける細胞の振る舞いを理解するのにも貢献するものと考えられる。
|