研究課題/領域番号 |
19K23751
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0702:細胞レベルから個体レベルの生物学およびその関連分野
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
加藤 大貴 神戸大学, 理学研究科, 特命助教 (30846994)
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研究期間 (年度) |
2019-08-30 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2019年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | ゼニゴケ / オーキシン / WIP / 発生 / 進化 / シグナル伝達 |
研究開始時の研究の概要 |
動物とは異なり植物の細胞は固い細胞壁に囲まれ移動できないため、細胞分裂面の向き・位置が細胞運命や成長方向の決定に重要である。オーキシンは陸上植物の発生と生長のほぼ全てに関わる主要なホルモンであり、細胞分裂面の制御にも重要である。しかしオーキシンによる遺伝子発現の変化が細胞分裂面を制御する仕組みは未だ明らかでない。本研究では近年見出した陸上植物に共通するオーキシン応答遺伝子WIPに着目する。遺伝的冗長性の低い苔類ゼニゴケの背側表皮を研究対象に細胞分裂面制御におけるWIPの役割を明らかにし、陸上植物に共通する分子機構の基盤や進化の道筋の理解につながる知見を得る。
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研究成果の概要 |
植物ホルモン・オーキシンは全ての陸上植物の発生において多面的かつ重要な役割を果たすホルモンである。本研究では研究代表者が見出した、陸上植物に共通するオーキシン応答遺伝子であるWIP転写因子に着目し、コケ植物ゼニゴケを研究モデルに機能解明を目指した。 その結果、ゼニゴケにおいてWIPが頂端分裂組織の腹側や杯状体内部で強く発現していること、機能欠損変異体では仮根の伸長異常と杯状体の形成密度の向上することを明らかにした。また変異体及び過剰発現株を用いたRNA-seq解析を行い、ゼニゴケにおけるWIPの下流遺伝子候補を同定するとともに、被子植物シロイヌナズナのデータと比較し進化的な考察を行った。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
オーキシンは陸上植物の成長・発生制御の主要因子であるが、オーキシンが多様な現象を制御する仕組みは未だ明らかになっていない。過去の研究により、WIPが陸上植物に保存されたオーキシン応答遺伝子であること、被子植物において胚根の幹細胞形成など多面的機能を担うことが示されていた。 本研究はコケ植物ゼニゴケにおいてもWIPが複数の器官の発生に重要な役割を果たすこと、陸上植物に共通してWIPに制御される遺伝子が存在しうることを明らかにした。このことはWIP経路が陸上植物の発生制御の基盤であることを示唆している。本研究の成果を活用することで植物の形を精緻に制御する技術につながると期待される。
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