研究課題/領域番号 |
19K23752
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0702:細胞レベルから個体レベルの生物学およびその関連分野
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研究機関 | 広島大学 (2020) 神戸大学 (2019) |
研究代表者 |
樋口 真之輔 広島大学, 医系科学研究科(歯), 助教 (20847131)
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研究期間 (年度) |
2019-08-30 – 2021-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2020年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2019年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 有毛細胞 / 平衡感覚 / 膜迷路 / 感覚毛 / 進化 / 無腸動物 |
研究開始時の研究の概要 |
脊椎動物は一般に,体の回転や重力の方向といった平衡感覚を内耳で受容する。内耳とは,体外環境から隔離された膜迷路と呼ばれる腔に有毛細胞が配置された構造である。一方,脊椎動物以外の後生動物は内耳をもたないものの,有毛細胞は多くの後生動物に見出される。すると,動物の進化において,「検出器」である有毛細胞がまず獲得され,これを「容器」である膜迷路に配置して内耳が獲得されたと考えられる。興味深いことに,有毛細胞の感覚毛に類似した構造は,後生動物に最も近縁な単細胞生物である襟鞭毛虫にも見出される。そこで,本研究は後生動物を広く対象として原生生物をも視野に入れ,有毛細胞の起源とその進化的変遷の推定を目指す。
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研究成果の概要 |
平衡胞の発生過程が未記載である無腸動物ナイカイムチョウウズムシ P. naikaiensis の平衡胞について、その形態形成過程を発現する遺伝子とともに初めて詳細に記載した。無腸動物とは左右相称動物の共通祖先から分岐したグループであるため、後生動物の進化の歴史において有毛細胞を含む平衡器や聴覚器が獲得され、いかにその形態を変化させてきたのかを理解するための大きな手がかりを得ることができた。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究の遂行は、後生動物における感覚器の進化の解明につながる。本研究の主要な対象である無腸動物の系統的位置については、分子系統学的解析からようやく論争に終止符が打たれつつあるが、本研究により形態学的な観点から論争の情報を提供できた。また、ヒトの疾患研究のためにゼブラフィッシュやマウスにおいて平衡覚の疾患モデルが作製されており、本研究の成果を関連研究の推進に還元できる可能性がある。
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