研究課題/領域番号 |
19K23762
|
研究種目 |
研究活動スタート支援
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0703:個体レベルから集団レベルの生物学と人類学およびその関連分野
|
研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
首藤 光太郎 北海道大学, 総合博物館, 助教 (60803723)
|
研究期間 (年度) |
2019-08-30 – 2023-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2019年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
|
キーワード | イチヤクソウ / 菌従属栄養植物 / 進化 / 分類 / アルビノ / イチヤクソウ亜科 |
研究開始時の研究の概要 |
光合成能を持たず,菌根菌からの有機物のみに依存した完全菌従属栄養植物は,最も近縁な緑葉植物と比べて系統的にかけ離れ,特殊化した形態・生態をもつことから,進化過程の解明が難しい。イチヤクソウ亜科は,光合成と菌従属栄養の両方を行う種と完全菌従属栄養の種を含むことから,菌従属栄養植物の進化過程を研究するために有用な材料として期待される。本研究は,イチヤクソウ亜科がどのように菌への依存度を変化させてきたのかを詳細なスケールで追跡することを目的とした。そのために,各種がもつ葉のサイズの変異と菌への依存度を評価し,それぞれを系統樹上に配置する。菌への依存度の評価には,炭素と窒素の安定同位体比を用いる。
|
研究成果の概要 |
国内に分布するイチヤクソウ亜科を探索する過程で,イチヤクソウの白化集団を発見した。菌従属栄養植物の白化集団をラン科以外の被子植物から初めて報告した。次に,標本調査の過程でヒトツバイチヤクソウのレクトタイプに,イチヤクソウの個体が含まれることが明らかになった。命名規約に基づきこの個体を除外してレクトタイプの再選定を行うことが望ましい。合計9種30集団で現地調査を行い,形態調査やサンプリングは実施することができたが,新型コロナウイルス感染拡大の影響により研究計画に遅れが生じ安定同位体比分析ができなかった。
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
イチヤクソウ亜科で生じた菌従属栄養性の進化を,葉のサイズを利用して定量的に追跡した。菌従属栄養植物は,近縁な緑葉植物と比較して特殊な生態や形態を示すことから進化過程の追跡が難しい植物群とされる。またラン科とは遠縁であるツツジ科で白化個体を発見できたことにより,これまでラン科を用いて得られてきた知見と比較することが可能になった。ラン科の白化個体は,菌従属栄養植物の進化過程を研究する材料としてしばしば活用されてきた。付随して,絶滅危惧種に指定されているイチヤクソウ亜科の分布/生育情報を収集することができた。
|