研究課題/領域番号 |
19K23766
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0703:個体レベルから集団レベルの生物学と人類学およびその関連分野
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研究機関 | 国立遺伝学研究所 |
研究代表者 |
村上 匠 国立遺伝学研究所, 情報研究系, 特任研究員 (00806432)
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研究期間 (年度) |
2019-08-30 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2019年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 氷河生態系 / メタゲノム / クリオコナイト / シアノバクテリア / 脱窒 / 環境微生物 / 氷河 / 細菌群集 |
研究開始時の研究の概要 |
シアノバクテリアを核として形成される微生物群集構造物「クリオコナイト」は、氷河環境中における代表的な一次生産の場であり、氷河生態系の基盤的存在である。世界各地の氷河環境からこのクリオコナイトの存在は報告されているが、その地域的多様性についての知見は限られている。 本課題では、極域やアジア高山域など世界各地から収集したクリオコナイトのDNA断片配列を網羅的に取得する、いわゆるメタゲノム解析を駆使することで、クリオコナイトの中核種であるシアノバクテリアの系統や遺伝子機能の地域間差異を調査する。
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研究成果の概要 |
氷河表面に形成される顆粒状の構造物「クリオコナイト」は、多様な微生物の集合体であり、氷河生態系の基盤を担っている。本研究では世界各地の氷河から得たクリオコナイトのメタゲノムデータを解析することで、クリオコナイト細菌群集構造の広域間での比較を試みた。その結果、主要な一次生産者であるシアノバクテリアをはじめ、クリオコナイトを構成する細菌の系統組成や保有する代謝能が地域ごと、特に極域氷河とアジア山岳氷河とで異なることが初めて明らかとなった。こうした細菌群集の地域的な差異は、各地の氷河環境の違いによってもたらされるものと考えられ、氷河生態系の地球規模での多様性を紐解く上で重要な知見である。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
氷河微生物の活動は流域の物質循環や氷河融解にも深く関与しているため、それら氷河微生物の総体である氷河生態系の構造を詳細に理解することは生物学・地球科学的に重要な課題である。本研究によって、様々な代謝能を有した多様な細菌種が世界各地の氷河に分布しており、地域ごとに特色を持った氷河生態系が構築されているということが初めて具体的に示された。これらの成果は、環境と氷河微生物群集の動態を紐づける重要な知見であり、「気候変動によって氷河生態系が今後どう変容し、物質循環や生物多様性がどのような影響を受けるのか」という問いをより詳細に解明していくことに大きく貢献する。
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